コミックナタリー PowerPush - オノ・ナツメ「ふたがしら」

祝・ドラマ化&ヒバナで連載再開!真逆な2人の行く末は?

オノ・ナツメ「ふたがしら」のTVドラマ化が決定した。明るくて豪放な弁蔵とクールな色男・宗次、真逆な2人が盗賊一味を抜け成り上がっていく様を描いた同作。惜しくも休刊してしまったIKKIにて連載されていたが、3月6日に発売された新たな青年マンガ誌・ヒバナ(ともに小学館)にて連載を再開した。

コミックナタリーではこれを機に、オノへのインタビューを敢行。ドラマへの期待や、「ふたがしら」連載の経緯、そして弁蔵と宗次、2人の行く末を聞いた。

取材・文/坂本恵 撮影/安井遼太郎

「ふたがしら」はドラマだとより映える

──まずは「ふたがしら」のドラマ化決定、おめでとうございます。

取材はオノ・ナツメの自宅兼仕事場にて行われた。

すごくうれしいです。発表されたとき(参照:オノ・ナツメ「ふたがしら」ドラマ化!松山ケンイチ&早乙女太一出演)は「ふたがしら」の原稿をやってたんですけど、そわそわしちゃって顔が描けなくて。背景の草を延々と描いてました(笑)。ドラマ化を目指して連載を始めたわけではないですけど、いつか自分の作品がそうなったらいいなっていう憧れはあったので。「さらい屋五葉」はアニメになったけど、「ふたがしら」はドラマだとより映える気がすると、連載始まってすぐくらいのときに、担当さんがおっしゃって。時代劇にならないかなあと話してたんですよ。

──オノさんの作品では初の実写化ですが、不安はなかったですか。

それはなかったですね。WOWOWさんのドラマWの作品は骨太でしっかりしてるものが多いと伺っていましたし、きっといいものを作ってもらえると思いました。もう全部おまかせしています。

──ドラマでは弁蔵を松山ケンイチさんが、宗次を早乙女太一さんが演じられます。

「ふたがしら」カット

ドラマ化発表時の告知ビジュアルに使われていた松山さんのお写真、不敵な笑みを浮かべてる感じとか弁蔵っぽいですよね。宗次は美形キャラという設定で「役者みたい」「化粧映えしそう」って作中で言われていて、大衆演劇で女形もやられている早乙女さんに演じていただけるのはとても光栄です。お二方が演じられる弁蔵と宗次を早くテレビで観たいですね。

──撮影はまだ始まっていないと思うんですが、脚本はもう読まれたんでしょうか。

台本の前のプロット段階を拝見したんですけど、すごくきれいにまとめてくださっていて。盛りだくさんなのに、まとまりがよくて、本当に無駄がないんです。ストーリーラインはほぼ同じなんですけど、全然違う話に見えるので、観た方は不思議な気持ちになるんじゃないでしょうか。ですので、シナリオはまったく心配してなかったです。送られてきた脚本も最初と最後のほうだけ読んでしばらく置いておいたんですが、どのキャラが出るのか気になって、やっぱり読んでしまいました(笑)。

──すぐには読まれなかったんですね。

いち視聴者として楽しみたかったし「見ないぞ!」って。でもそういうわけにもいかなかったですね(笑)。

4巻まではヤンキー成り上がりもの

──では振り返って、「ふたがしら」連載の経緯をお伺いしたいのですが。

実は最初、「さらい屋五葉」の次は時代劇じゃないものをやろうという話があったんです。でも、どうしても「ふたがしら」の2人の話を、いま描きたくなってしまって。それで、他誌に持ち込みをしようと思ったんです。

──持ち込み!? オノ先生が持ち込みを?

「ふたがしら」1話最後のシーン。こちらは単行本版。

そうなんです。でももちろん、IKKIに載せてもらえることが一番いいので。それで担当さんに「どうしても描きたくなってしまって」とご相談したら、「それはもう、やってください」と言ってくださって。だから他誌に持ち込むこともなく(笑)、無事にIKKIで連載させてもらえることになりました。第2話のはじめの5ページ、この冒頭はずっと前から描いていたものなんです。これは絶対にこの形で始まって、「ふたがしら」っていうタイトルで、というのが決まっていた。でも連載がここから始まると急すぎるので、2人のキャラクターを見せるために作ったのが第1話目。長いプロモーションビデオみたいな感じです。

──たしかIKKIで連載が始まったときも、「ふたがしら」というタイトルは第1話の最後に入れられていました。「ふたがしら」は「五葉」に出てくる盗賊の頭領2人の若かりし頃を描いたお話ですね。

「五葉」から派生したマンガではあるんですけど、「五葉」とは全然違ったものをやりたいと考えたので、ノリとか、マンガのリズムも全部変えようと思いました。2人の若い小悪党が成り上がっていくヤンキーものをやろう!というのが担当さんとの間にあって。

──ヤンキー成り上がりもの。

「ふたがしら」4巻より。

結果は「五葉」で描かれている通り、最終的にはそこに行き着くので、ヤンキー成り上がりものとは違った流れになるのは明らかだったんですが……。

──4巻の最後では、弁蔵と宗次が「壱師」という一味を作り、いきなり月日が結構経っていますよね。

そう、この間は描かれてないですが数年経っています。名を上げていく、壱師にとっては一番いいところをあえて省いて、描いてないんですね。ここをずっと描いていると、たぶんなかなかまとまらないと思ったので。「ふたがしら」は2人のその先を描くお話なんです。だから5巻からは、一味としての峠を越えたあとを描いていきます。

オノ・ナツメ「ふたがしら」5巻 / 2015年3月6日発売 / 669円 / 小学館
ふたりの頭(かしら)、立つ。その前途は?

大坂を離れて東へ戻ってきた弁蔵と宗次。頼りになる仲間を得たふたりは、満を持して自分たちの一味である「壱師」を立ち上げた。その初仕事は上々、勢いに乗る弁蔵だが、宗次の顔はなぜか晴れない。そんな中、かつての古巣・赤目一味が怪しい動きを始め……?

芸能界などにも多くのファンを持つ新感覚江戸活劇、待望の第五集刊行!

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オノ・ナツメ「 子連れ同心」5巻/ 2015年3月6日発売 / 690円 / 小学館
江戸の四季の中、父子のあたたかな日々。

気弱な同心・立花伊織。与力様に怒られたり、同心仲間に手柄をとられたりしつつも、町を見廻り治安を守る。そしてその傍らには、我が道をゆく息子・巳太郎の姿が。初鰹・七夕・煤払い・雪うさぎ……父ひとり子ひとりの日々を、四季の移ろいとともに描く1冊。

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週刊ビッグコミックスピリッツ増刊「ヒバナ」1号/ 2015年3月6日発売 / 680円 / 小学館

笑いたい、泣きたい、喜びたい、怒ってからスカッとしたい、シビれたい、憧れたい、惚れちゃいたい。
たった今の気持ちをたった今かなえてくれるキャラクターたち。
マックスになりたいテンションに「着火」する新しい青年コミック誌を、やります。

掲載ラインナップ
  • 「雪花の虎」 東村アキコ
  • 「アフターアワーズ」 西尾雄太
  • 「コマさん~ハナビとキセキの時間~」 柴本翔
  • 「しまなみ誰そ彼」 鎌谷悠希
  • 「いかづち遠く海が鳴る」 野田彩子
  • 「或るアホウの一生」 トウテムポール
  • 「ドルメンX」 高木ユーナ
  • 「椿と罪ほろぼしのドア」 長田亜弓
  • 「461個の弁当は、親父と息子の男の約束。」 荒井ママレ/渡辺俊美
  • 「スラップスティック」 青野春秋
  • 「最近の赤さん」 とよ田みのる
  • 「ロボッとうさん」 有永イネ
  • 「三十路飯」 伊藤静
  • 「ありごけ」 漆原ミチ
  • 「ふたがしら」 オノ・ナツメ
  • 「子連れ同心」 オノ・ナツメ
  • 「あちらこちらぼくら」 たなと
  • 「ロッタレイン」 松本剛
  • 「ドロヘドロ」 林田球
別冊付録

「勇者たち」 浅野いにお

オノ・ナツメ
オノ・ナツメ

2003年、COMIC SEED!(ぺんぎん書房)にて「LA QUINTA CAMERA」でデビュー。ヨーロッパの雰囲気を上手に切り出した、小粋でアンニュイな人間模様を描き人気を博す。2009年に代表作「リストランテ・パラディーゾ」がテレビアニメ化、続いて2010年に「さらい屋五葉」がTVアニメ化される。2015年現在、ヒバナ(小学館)にて「ふたがしら」を、月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて「ACCA13区監察課」を連載中。そのほかの著書に「つらつらわらじ」「GENTE(ジェンテ)」「逃げる男」「COPPERS」「子連れ同心」などがある。