コミックナタリー PowerPush - アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」

ついに第3部のアニメ始動! スタッフが明かす奇妙な映像化の秘密

第1部、第2部を忠実にアニメ化し話題を呼んだ「ジョジョの奇妙な冒険」。4月からは、原作ファンの間でも人気の高い第3部「スターダストクルセイダース」がついに放送スタートする。

コミックナタリーでは放送に先駆け、TVアニメのディレクター・津田尚克と、シリーズディレクター・鈴木健一を直撃。第3部への意気込みを聞くと同時に、今回から新たに登場する「スタンド」についても深く言及してもらった。

取材・文/坂本恵 撮影/小坂茂雄

津田尚克(ディレクター)×鈴木健一(シリーズディレクター)対談

「こんなセリフ出てこないよな」って思いながら書いてます(笑)

左から鈴木健一、津田尚克。

──「ジョジョの奇妙な冒険」第3部のアニメがいよいよ4月より放送されます。それに先駆け前作の総集編もリリースされますので、本日は第1部、第2部を振り返りつつ第3部のお話も伺えればと。

津田鈴木 よろしくお願いします。

──まず津田さん、鈴木さんはそれぞれディレクター、シリーズディレクターという肩書きですが、これはどういった役割なんでしょうか。

津田 基本的に監督業を2人で割っているものと思ってもらえればわかりやすいかな、と。コンテチェックも2人でやりますし、困ったことがあれば相談するし、あとは「今日ちょっと作業が詰まっていてアフレコ行っている余裕がないので、そっちをお願いします」とか、そんな感じです。ただ設定周りは鈴木さん、コンテの最終チェックは僕、といった役割分担はしています。全体の最終ジャッジは僕がしています。

鈴木 監督、副監督っていうのも立場的にちょっと違うし、監督、助監督でもないし……。一番しっくりくるのは総監督、監督なんですけど、名称的に優劣が付いちゃうと命令系統が狂うし、2人が同じ発言権があるほうがやりやすいのでね。

──では前作の1、2部を振り返ってみて、いかがでしたか?

「ジョジョの奇妙な冒険」総集編 Vol.1

津田 内容的には面白く仕上がったなっていう部分と、反省点も残したなという部分もありまして。まあ、手探りでしたよね、ずっと。

鈴木 そうですね。一番最初に「ジョジョの奇妙な冒険」とはどういう作品かということを、みんなで喧々諤々話し合ったんですが、そのときから1枚の絵をパッと見て「ジョジョ」だってわかるようなアニメ作りをしようというスローガンでやってきたんです。ただそれは僕や津田さんの中で「ジョジョってこうだよね」という絵でしかなかったので、それをほかの人が見たときにどう思うのかというのは、最初は不安に感じましたね。

津田 ビジュアル的な話をすると、この原作の雰囲気を損なわずにアニメに落とし込むにはどうしたらいいんだろうというところは、試行錯誤を繰り返してきましたね。まあテンション的にはかなり高い仕上がりになりましたが(笑)。

鈴木 ははは(笑)。そうですね、まあ狙ってやったんですけどね。

津田 擬音を入れたり、独特の言い回しがあったりね。「ジョジョ」はすごくコアなファンのいるタイトルではあるんですけど、同時に週刊少年ジャンプで連載されていた作品なので、とにかく裾野が広いんですよ。コアなファンはもちろん、それ以外の層にも訴えかけていくときに、どうしたらキャッチーになるんだろうとか、どうしたら最大公約数の「ジョジョ」ファンに響くんだろうというのはすごく考えました。

「ジョジョの奇妙な冒険」の1シーン。

──それが擬音だったり、独特の言い回しだったり。

津田 そうです。あとは荒木先生の独特のカラーリングだとか、レイアウト、構図ですよね。そういったものが「ジョジョ」の一番キャッチーな特徴につながるかなと。「奇妙な冒険」の“奇妙”な部分と言いますか。

鈴木 そうですね。

津田 まあ荒木先生でないと、まず出てこない言い回しですよね。自分もシナリオやコンテの作業をするとき、「普通だったらこんなセリフ出てこないよな」って思いながら書いてますもん(笑)。

擬音は読めなくていいやと思ってのせている

──擬音もビジュアル的な文字エフェクトと、実際の効果音を組み合わせるという独特の技法が使われています。

ディオがエリナにキスするシーン。

津田 文字エフェクトは、その名の通りエフェクトのひとつとして考えているので、実は。読めなくていいやと思いながらのせてるんです。だから文字エフェクトの動きが止まることもないですし、画面に出てきたらすぐに消えたりもしますし。

鈴木 効果音を補強するつもりで入れているというよりは、賑やかしなんですよね。効果音は普通にきっちり鳴ってるんで、正直なくても映像的には成立するんです。

津田 ただマンガで擬音を見慣れた人だと、擬音がないとマンガとの印象値が変わってきちゃうので。

鈴木 ディオとエリナがキスしている上には「ズキュウウウン」っていう文字が出てないと、なんか物足りないじゃないですか。なので、なるべくそういう印象があるところには使ったりしています。そういうのが「マンガアニメ的」な部分かな。

──そのあたりは第3部も変わらず?

津田尚克

津田 そうですね。ただ第3部は「マンガアニメ的」というよりはもっと「映画的」な論法を盛り込みたいので、前作よりは多少減ってると思います。もちろん印象的なところは残してますけどね。「グッパオン」とか。

鈴木 あと「メギャン」とかね。

──その「グッパオン」や「メギャン」という文字エフェクトにどんな効果音が鳴るのかが楽しみです。

津田 音響効果の小山さんも「ジョジョ」好きの方で、かなりこだわりを持ってますから。あ、僕、「グッパオン」で象さんの「パオーン」って鳴き声が鳴るっていうのはどうだろうって提案したことがあったんですけど、「入れてもいいけどどうなっても知らないよ」って言われました(笑)。もちろん、採用されませんでしたけど。

TVアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」

TOKYO MXにて、2014年4月4日(金)より毎週24:30スタート

その他放送局:毎日放送、中部日本放送、東北放送、RKB毎日放送、BS11、アニマックス

津田尚克(つだなおかつ)

アニメーション監督・演出家。「戦う司書」や「侵略!イカ娘」「ベン・トー」など、各話の絵コンテや演出を担当。2012年に「妖狐×僕SS」で監督デビューを果たし、前シリーズのテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」に続いて、テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」が監督3作目となる。

鈴木健一(すずきけんいち)

アニメーション監督・演出家。「HELLSING OVA」や「SD ガンダム三国伝 Brave Battle Warrious」では監督を務め、前シリーズのテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」に続いて、テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」でもシリーズディレクターを務める。

荒木飛呂彦(あらきひろひこ)

1960年6月7日宮城県生まれ。1980年、週刊少年ジャンプ(集英社)にて「武装ポーカー」でデビュー。その後「バオー来訪者」を経て、1987年「ジョジョの奇妙な冒険」を連載開始。ほかに類を見ない異質なビジュアル、独特のキャラクターやセリフ回し、特徴的な擬音やキャラのポージングが熱狂的なファンを生み、同誌で15年以上続く長期連載として人気を博した。2005年よりウルトラジャンプ(集英社)に活動の場を移し、ジョジョシリーズ第7部に相当する「スティール・ボール・ラン」を、2011年には第8部に相当する「ジョジョリオン」を連載。