音楽ナタリー PowerPush - BRADIO×「デス・パレード」監督 立川譲

シリアス×パーティチューンの不思議な関係

BRADIOがニューシングル「Flyers」を2月25日にリリースする。

表題曲「Flyers」は1月から放送がスタートしたアニメ「デス・パレード」のオープニングテーマとしてオンエアされているナンバー。シリアスなストーリーが展開されるアニメの世界観をいい意味で裏切ったパーティチューンとして、同曲はアニメファンからも高い評価を受けている。

今回ナタリーではシングルの発売を記念して、メンバーとアニメ「デス・パレード」の監督を務める立川譲との座談会をセッティング。シリアスな作品のテーマ曲にハイテンションなパーティチューンを当てた理由や、楽曲制作の裏話、お互いの作品の印象などをたっぷりと語り合ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 小坂茂雄

想像以上のテンションで驚きました

──BRADIOの皆さんはアニメのオープニング映像を観ていかがでしたか?

対談の様子。

真行寺貴秋(Vo) 感動しました!

大山聡一(G) テレビの初回放送のときに僕らの曲が使われているオープニング映像を初めて観たんです。その日はライブがあって、家に帰ってきたのが深夜2時頃だったんですけれど、その時間がちょうど放送のタイミングで。

真行寺 もうライブ中から楽しみでソワソワしてました。

大山 スタッフから「キャラクターが曲に合わせて踊っている」っていう話は事前に聞いていたんですよ。でも、実際に観たら思ってた以上のテンションで踊っていたので驚いて(笑)。「うわ、これすごい!」って素直に感動しました。

──アニメはニコニコ動画でも公開されているので僕はそこで観たんですけど、視聴者の皆さんがアニメ本編とのギャップがすごいとコメントしていて。

立川譲 そうなんですね。「デス・パレード」っていうアニメは死んだ人間同士がゲームをするって話なんですけど、ゲームには毎回参加者を苦しめる仕掛けがあって。次第に追い詰められていく中で、その人の本質が出てくるっていう、暗いというか重たい話なんです。なので、オープニングだけでも明るく楽しい感じにしたかったっていう思いがあったんです。

こんなに明るくしていいのかな

立川譲

──監督はタイアップのアーティストがBRADIOに決まる前から、オープニングテーマは明るい曲にしようってイメージしていたんですか?

立川 そうですね。キャラクターにダンスをさせようっていうイメージまでは固まってなかったんですけど、明るくてノリのいい音楽にしたいっていう考えは元からあって。

──BRADIOに楽曲の依頼をして、「Flyers」が上がってきたときの最初の印象はどうでしたか?

立川 まさにこれって感じでした。もともと「ノリのいい音楽を」ってお願いしていて、その通りの曲が来たわけですから。

真行寺 実は心配だったんですよ。これでいいのかなあって。

大山 楽曲を作るときに「デス・パレード」の前身に当たる「デス・ビリヤード」ってアニメを観させていただいて、だいたいどういう作風なのかっていうのはわかってたんです。でも監督から「明るい曲が欲しい」って依頼が来たから、みんなで「こんな明るくしていいのかな?」って思いながら作ってました。

立川 制作サイドでは「アーティストの方にはもしかしたら『デス・ビリヤード』を観てもらわないほうがいいかも」って話もあったんです。観ちゃうとどうしても作品のテーマとか、シリアスな展開に引っ張られちゃうと思ったから。でもいい意味で作品の空気感を裏切る曲を作ってもらったんで、全然大丈夫でした。

大山 僕らも「明るいのが求められてるんだからこれで!」と思って勢いで出したところがありました(笑)。

全部外したのに、偶然リンクしてた

──「Flyers」以外にも候補曲は作ったんですか?

大山 そうですね、何曲かデモは出しました。でもほかの曲はシリアスとまではいかないまでも、「Flyers」に比べてもう少しトーンが低かったんですよ。

立川 バンドの持ち歌の中には、暗い曲もあるんですか?

真行寺貴秋(Vo)

真行寺 ありますね。基本的にアッパーな曲が多いんですけど、暗い曲もあります。

立川 ちなみに歌詞は誰が書かれているんですか?

真行寺 僕ですね。

──「Flyers」の歌詞の中には「まだ死んじゃいない」とか「忘れてた記憶」などアニメに関連するワードが盛り込まれていますが、歌詞は「デス・パレード」にインスパイアされて書いたんですか?

真行寺 いや、アニメの世界観とか作風とは離して書いたものなんですよ。

立川 あ、そうなんですか。確か最初にもらった歌詞がもっと作品に寄っていて、「そこまで内容を気にしてもらわなくて大丈夫ですよ」って話をしたんですよね。それで今の形になったんですけど、多少アニメとのリンクは残しているのかと思ってました。

真行寺 もう全部外しちゃった歌詞が今の形で。タイトルの「Flyers」には“挑戦者”という意味を込めているので、歌詞は「世に飛んでいけ!」ってイメージでタイアップのことは考えずに新たに書いたものなんです。

立川 そうだったんですか。

──シングルのカップリング曲「感情リテラシー」は「ようこそどうぞはじめまして」という真行寺さんの歌い出しから始まりますが、これはアニメからBRADIOを知った人たちに向けて作った曲なんですか?

真行寺 そうじゃなくて、実は「感情リテラシー」はもともとオープニングテーマの候補にあった曲なんです。

立川 確か「Flyers」と「感情リテラシー」のどちらかにしようってなって。「感情リテラシー」もすごく面白い曲だと思いました。

大山聡一(G)

大山 「感情リテラシー」がスタジオでできあがったときは、けっこう盛り上がって。

真行寺 「デス・ビリヤード」を観て、デキムの最初のせりふが「いらっしゃいませ。クイーンデキムへようこそ」だったんですよ。で、アニメを観終わってから一番初めにできあがったのがこの曲。

大山 アニメでは登場人物の感情が生々しく描かれているから、人間の感情的な部分を楽曲で表現できないかなと思って、サビでは聴き手の感情をグッとつかむような哀愁感を出しています。「Flyers」と同じくタイアップからできた曲なので、そういう意味ではカップリングにも注目してほしいですね。

ニューシングル「Flyers」 / 2015年2月25日発売 / 1080円 / HERO MUSIC ENTERTAINMENT / HRME-1003
ニューシングル「Flyers」
収録曲
  1. Flyers
  2. 感情リテラシー
  3. Flyers(Hidden AFRO ver.)
  4. 感情リテラシー(Hidden AFRO ver.)
TVアニメ「デス・パレード」日本テレビほかにて毎週金曜日25時58分~放送中
TVアニメ「デス・パレード」

死者たちが招き入れられる不思議なバー「クイーンデキム」に現れる人間は、白髪のバーテンダー・デキムによって自らの死に関する記憶をなくしたまま“命懸けのゲーム”に参加させられる。ゲームを通して次第に極限状態に追い込まれ、その本性を露わにする参加者たち。やがてデキムは、自らが死者を天国か地獄に振り分けるための“裁定者”であることを彼らに明かす。

BRADIO「FUNKY PARTY ONE MAN TOUR~ようこそどうぞはじめまして~」
2015年3月27日(金)愛知県 ell.SIZE
2015年4月4日(土)大阪府 ROCKTOWN
2015年4月8日(水)東京都 TSUTAYA O-WEST
BRADIO(ブラディオ)

BRADIO

真行寺貴秋(Vo)、大山聡一(G)、酒井亮輔(B)、田邊有希(Dr)の4人からなる“日常に彩りを加えるエンターテインメント”をコンセプトに活動するロックバンド。多彩なビートを生み出すリズム隊を軸にサウンドや、シャウトやファルセットを使い分ける個性的なボーカルが話題を呼ぶ。2013年10月に1stミニアルバム「DIAMOND POPS」をリリース。2014年には「TREASURE05X」や「イナズマロック フェス」といったライブイベントにも出演したほか、1stシングル「オトナHIT PARADE」を発表。2015年1月から放送がスタートしたアニメ「デス・パレード」に新曲「Flyers」を提供し、同曲を表題曲としたシングルを2月25日にリリースする。

立川譲(タチカワユズル)

アニメ監督、演出家。「BLEACH」「キルラキル」「進撃の巨人」など人気のアニメ作品の絵コンテや演出を担当している。2013年には自身が原作、脚本、監督を手がけたアニメ「デス・ビリヤード」が全国の映画館などで公開された。2014年に放送されたアニメ「残響のテロル」では助監督を務めている。2015年1月には自身が原作、監督、シリーズ構成を担当するアニメ「デス・パレード」の放送がスタートした。