音楽ナタリー PowerPush - cali≠gari

第8期メンバーの腹の内

昨年秋の東京・日比谷野外大音楽堂公演をもって第7期を終え、年明けより石井秀仁(Vo)、桜井青(G, Vo)、村井研次郎(B)という編成で第8期を始動させたcali≠gari。そんな彼らのニューアルバム「12」が、3月11日に日本コロムビアよりリリースされる。

上領亘(NeoBallad)、Tetsu (D'ERLANGER)、SATOち(ムック)、中西祐二というゲストドラマー4人を迎えて制作された「12」は、cali≠gariの個性が存分に発揮された濃厚な1作。第8期として動き出したバンドの今が刻まれている。

今回は新作のリリースにあわせてメンバーにインタビューを行い、cali≠gariを続ける理由や現在のバンドシーンに対する率直な思いを聞いた。

取材・文 / 中野明子 インタビュー撮影 / 塚原孝顕

決め手はコロちゃん

cali≠gari

──今回、日本コロムビアから新作をリリースすることにした理由が、コロムビアのマスコットキャラクターの存在があったからとお聞きしたんですが……。

桜井 これはメンバー全員でそれぞれ理由が違うんで、同じ言葉が出てくるとは思わないでくださいね(笑)。で、僕がコロムビアからリリースを決めた理由は……コロちゃんがいるからに決まってるじゃないですか。なんかアルバムのジャケットで使えそうなキャラがいるなって思って。マネージャーには「コロちゃんが使えないならコロムビアからは出さない」とは言いましたね。どのレーベルに行っても自分たちのやることは変わらないし、だったらそれくらいの理由で行き先を決めたほうがいいのかなって。

石井 というか、我々は自分からレーベルを選べるような身分じゃないと思ってるんで。むしろ新作をリリースさせていただけることになったみたいな感じです。しかも俺はコロちゃんの存在を全然知らなかったし。今回のアルバムのジャケットで使われてますけど、ジャケットのラフがポーンと机に置かれてるのを見たときも「何これ?」ってなったくらい。

村井 僕は日本コロムビアの株を100株持ってまして。だからレーベルがここに決まったのは何かの縁かなと思いましたね。

石井秀仁(Vo)

石井 100株ってすごいの?

村井 いやそうでもない(笑)。でも配当金を年2回いただいてますよ。

桜井 という具合でそれぞれコロムビアに対する思いにも、決めた理由にも我々は何1つ交差するものがないんですよ(笑)。

続けないのはナンセンス

──それぞれの思いがありつつ、3月11日に第8期として初めての作品がリリースされます。意外と短いスパンで新体制での活動が始まった印象があったんですが、長年所属していた武井(誠)さんが抜けたあともcali≠gariを続けることにした理由はなんだったんでしょうか?

桜井 別に理由はないですね。メンバー抜けたらバンド解散っていう発想もなかったですし。1人いなくなったところでバンドを続けないっていうのもナンセンスじゃないですか。別にcali≠gariの音楽を演奏するのが嫌いなわけじゃないし。

村井 まあ話としては、今回はcali≠gariを続けるために抜けてもらった感じなんです。

──なるほど。ちなみに第7期が始まった頃は「異能派音楽集団」というキャッチコピーを掲げて活動をされていたわけですが、第8期には何かキャッチコピーやコンセプトはありますか?

桜井青(G, Vo)

石井 「異能派音楽集団」ってだいぶ前の話ですね(笑)。

桜井 キャッチコピーを付けなきゃいけない時期だったんでしょうね。

村井 今考えると恥ずかしいな。

桜井 まあ、今回は特にそういうのもなく第7期の流れで自然に始まってますね。

──新しい期が始まるにあたって心機一転といった気持ちはありますか?

桜井 ないですね。メジャーレーベルに復帰したくらいで何も変わらないです。ただ、今までメジャーレーベルとも1社しか契約をしたことがなかったんで、いろいろ新鮮ですね。今のところ、滞りなくスタッフの方と仲良くさせていただいて。制作上の制約もなく、ストレスなく仕事ができているのでとてもいいですね。

──制約というのは歌詞の表現とかですか?

桜井 まあ、それもありますね。ただ歌詞はいつもわざとやってるところがあるんで。あえて出してみて、通るか通らないか試すのはいつものことなんですよ。今回もダメもとで出したら通って、コロムビアすげえって思いましたね(笑)。

──石井さんと村井さんは新しいスタッフとの連携はいかがですか?

石井 俺はコロムビアの社屋に来たのは今日が初めてなんで(笑)。俺は誰とやっても、どことやっても一緒だと思ってますね。自分たちの音楽は変わることはない。レコード会社には何も求めてないんですよ。仲良くしてくれればいいなくらいで。

村井研次郎(B)

村井 でも新しい出会いがあるのは楽しいですね。レコード会社の人って髪の色も髪型も普通だし、スーツを着てる人もいるし。我々が世間の人たちと違うのはわかってますし、ミュージシャンとして生きてるとなかなかそういう人と接する機会がないけど、レコード会社の人といると常識的な話ができるのが新鮮な感じですね。

桜井 スーツを着ている人たちと仕事をしていると、自分も仕事をしている感じになりますね。

村井 バンドやってると、どこで世の中とつながっていくのかが大事になってくるんですよ。だから“ちゃんとした人”と接すると安心するんですよね。ちゃんとした人と、ちゃんとした建物の中で会話してると、自分がちょっとだけ世の中とつながってる気がしますね。

石井 俺、その感覚わかんないわ(笑)。

ニューアルバム「12」2015年3月11日発売 / 日本コロムビア
狂信盤 [CD+DVD] 4320円 / COZP-1021~2
良心盤 [CD] 3240円 / COCP-39034
CD収録曲
  1. わるいやつら
  2. 脳核テロル
  3. 颯爽たる未来圏
  4. セックスと嘘
  5. トゥナイトゥナイ ヤヤヤ
  6. ギムレットには早すぎる
  7. とある仮想と
  8. 紅麗死異愛羅武勇
  9. バンバンバン
  10. フィラメント
  11. あの人はもう来ない
  12. さよならだけが人生さ
狂信盤DVD収録内容
  • メンバー×ゲストドラマー対談、メンバーインタビュー、ジャケット撮影メイキングなど
cali≠gari(カリガリ)

1993年に結成。パンク、ニューウェイブ、歌謡曲、ジャズなど多彩な音楽性を内包したサウンド、ド派手なビジュアルやパフォーマンスを特徴とする。2003年より活動休止するも、2009年より“消費期限付き”で活動を再開させる。2012年に期限付きでの活動を撤回し、以降もコンスタントに作品のリリースやライブ活動を続けている。メンバーが変わるごとに活動期間を「期」で区切っており、2015年1月より石井秀仁(Vo)、桜井青(G, Vo)、村井研次郎(B)という3人で第8期として活動中。