音楽ナタリー PowerPush - GARNiDELiA

「Gのレコンギスタ」とともに より速く、よりシンプルに、より先に

アニメ「キルラキル」のオープニングテーマ「ambiguous」でデビューを飾り、続く2ndシングル「grilletto」が「魔法科高校の劣等生」のオープニングテーマに採用されるなど、そのド派手な活動の数々によって、わずか1年足らずのうちにアニメソングシーンにその名を大きく刻んだGARNiDELiA。そんな彼らがこのたびさらに大きなコラボレーションを実現した。

メイリア(Vo)とtoku(Key, Compose)の2人がリリースした3rdシングル「BLAZING」の表題曲は現在放送中のアニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」(「Gレコ」)のオープニングテーマだ。「Gレコ」は「機動戦士ガンダム」シリーズの生みの親・富野由悠季が自らメガホンをとったものとしては実に15年ぶりとなる“新作ガンダム”。2人はこの超ビッグタイトルのオープニング映像に、四つ打ちビートが印象的な超高速ギターロックで華を添えている。

破格のデビューを果たし、破竹の勢いで快進撃を続けてきた彼らが今「ガンダム」とコラボするに至った経緯は? 御大・富野由悠季のGARNiDELiA評は? 2人に聞いた。

取材・文 / 成松哲

勝因は「クラシックの素養」と「変わった声」

──メイリアさん、tokuさん! ガンダムです! しかも富野ガンダムですっ!

「ガンダム Gのレコンギスタ」キービジュアル

メイリア(Vo)toku(Key, Compose) あはははは(笑)。

メイリア でもホントにそういうテンションになっちゃう出来事ですよね。「BLAZING」が「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマに選ばれたことを発表したときファンの方もすごくビックリしたみたいですし。

toku Twitterの「トレンド」(人気キーワード)にも入ったしね。

メイリア ねっ。私たちのことを知らなかった方にもたくさん反応をいただいて。ただ富野(由悠季)監督から「オープニングはGARNiDELiAで」っていうお話をいただいたときは、皆さん以上に私たち自身がビックリしました(笑)。

──あっ、富野監督直々のご指名だったんですか。

メイリア 私たちの以前の楽曲を聴いた上で「GARNiDELiAでいこう」っておっしゃったらしいです。

──富野由悠季という人のお眼鏡に適った理由ってなんだと思います?

メイリア 実際に教えていただいたんですけど、最近監督ご自身がクラシックにハマっていたのもあって、まずtokuさんの書くメロディラインが気に入ったって言っていて。

toku 「クラシックの素養がある人間が書いたメロディラインだから」っていうのと、あとは……。

メイリア 変わった声をしてたから(笑)。でもホントに「特にメロディラインが」とはおっしゃってましたね。

富野由悠季、「ガルニデ感」を看破する

──ただGARNiDELiAの楽曲って取り立ててクラシック的ではないというか、ピアノやストリングスや管楽器を大々的にフィーチャーしているわけではない。

toku 特にシングルのリード曲はどっちもマイナーアップ(マイナーコード主体のコード進行のアップリフティングな楽曲)のギターロックですもんね。

──はい。で、カップリングもハードめなダンスチューンなんだけど、その一方で実はtokuさんってもともと声楽からキャリアをスタートさせてるんですよね(参照:GARNiDELiA「ambiguous」インタビュー)。なのに富野監督は……。

メイリア(Vo)

メイリア そうなんですよ。私たちの曲を聴いただけで、tokuさんのキャリアを理解してくださっていて。

──お2人は「ガルニデ感」「ガルニデらしさ」について「わからない!」って口を揃えていたにも関わらず、富野監督は一発で看破した(笑)。

メイリア 監督に「ガルニデ感」の正体を教えていただきました(笑)。「なるほど、そういうことだったのか、ガルニデらしさって」って。

──他人事(笑)。ということはクラシック的なエッセンスも別に意図的に盛り込んでいるものではない?

toku 「意図して」「あえて」ではないですね。今のロックやポップスが好きなのと同時に、クラシック的なメロディの展開の仕方や和声感も好きだし、やりたいことの1つではあるからっていうだけで。ある意味「素」。作ってる本人自身、気持ちいいから、好きだから自然と盛り込んじゃってたっていう感じだったので、そこを見抜かれたのにはちょっとビックリしました。

──実際お2人とも今も「素」というか、富野監督からそういうお話があったあとに作った「BLAZING」も特段クラシック趣味を大フィーチャーした楽曲ではないですし。

メイリア いや、実は今回は「素」でもいられなくて……(笑)。「『Gのレコンギスタ』のオープニングはGARNiDELiAでいこう」ってなったあと、富野監督と「どんな楽曲にしよう?」っていうお話をさせていただいたんですよ。

toku クラシック的エッセンスを大フィーチャーこそしていないものの、イントロがストリングスから始まってるのは、富野監督の「クラシックにハマってる」っていうお話がきっかけだったりもしますし。

──そしてイントロ途中から楽曲は四つ打ちの高速キックに裏拍で刻むカッティングが乗る、シーンのトレンドをにらんだギターロックへと展開していく。これも監督の意向?

メイリア 具体的にそうおっしゃっていたわけではないんですけど、ある意味ではそうですね。「『Gのレコンギスタ』は未来を担う子供たちに向けて作ったアニメだからストレートでわかりやすく、勢いのある曲で」っていうリクエストはいただいていたので。

toku うん。監督のおっしゃるストレートさを踏まえるとこういうアレンジになるのかな、っていう感じではありました。ただあくまで最近のダンスロックバンドのエッセンスを取り入れただけ、多少意識しただけのことではあるんですけど。今人気のバンドさんと同じことをやるなら、僕たちが曲を作る意味はない。その人たちのほうがもっとカッコいいダンスロックを書けるはずですから。ダンスロックをベースに、ほかにはない音にするにはどうすべきかっていうことは考えましたね。

ニューシングル「BLAZING」2014年10月29日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / DFCL-2086~7
通常盤 [CD] 1296円 / DFCL-2088
期間生産限定盤 [CD+DVD] 1620円 / DFCL-2089~90
CD収録曲
  1. BLAZING
  2. 人魚姫
  3. further
  4. BLAZING instrumental
  5. BLAZING TV Size ver.(※期間生産限定盤のみ)
初回限定盤 DVD収録内容
  • BLAZING
  • BLAZING bonus footage
期間生産限定盤 DVD収録内容
  • BLAZING
GARNiDELiA(ガルニデリア)

GARNiDELiA

アニソンシンガーなどとして活躍するメイリア(Vo)と、アンジェラ・アキ、LiSAらのアレンジャー、ボカロP「とく」などの横顔を持つtoku(Key, Compose)からなるユニット。2010年に別名でオリジナル曲「ARiA」を動画共有サイトに投稿し、同年アニメ「フリージング」オープニングテーマ「COLOR」を発表したのと前後して、ユニット結成を宣言する。以来ハードロック由来のヌケのいいギターロックから、ダンスミュージック、ピアノ1本で聴かせるバラードまで幅広い楽曲群をネットで発表する一方で、2010年末にはミニアルバム「ONE」をインディーズで発表。さらに翌年には東京・JCBホール(現・東京ドームシティホール)での「ニコニコ大会議Final」や、中国・上海での「舞動漫櫻楽祭~ANIME ROCK CONVENTION~」など国内外でのイベントに招聘される。そして2014年3月、アニメ「キルラキル」の後期オープニングテーマ「ambiguous」でメジャーデビュー。同年7月には「魔法科高校の劣等生」後期オープニングテーマ「grilletto」を、10月には「ガンダム Gのレコンギスタ」のオープニングテーマ「BLAZING」を発表した。