音楽ナタリー PowerPush - Goodbye holiday

決意表明の旗を振る

音楽プロデューサーの島田昌典が「今年イチバンのワクワク、ドキドキするバンド」と絶賛する、若手4人組Goodbye holiday。彼らが8月13日に3枚目のミニアルバム「FLAG」をリリースする。関西テレビ「ミュージャック」の8月度エンディングテーマ「さらば」、島田を迎えて制作された「スパイダー」をはじめ、これまで以上にバラエティに富んだ7曲が並ぶ本作について、そして現在の課題についてメンバー4人に語ってもらった。

取材・文 / 伊藤実菜子 インタビュー撮影 / 佐藤類

ここで自分たちに区切りをつける

──3枚目のミニアルバムとなる「FLAG」ですが、キャッチーでありながら切なさを帯びた「さらば」「蛍」や優しげなバラード「青春迷子」といったGoodbye holidayの得意技とも言えるナンバーから、これまでと歌い方がガラッと変わった「陽炎」、アコーディオンの音色が主体の「ポップコーン」まで、今まで以上に幅広い内容になりましたね。

Goodbye holiday

山崎晃平(Dr) そうですね。今回は過去2作と比べて、曲決めがめちゃくちゃ難航したんですよ。レコーディングが始まる前日くらいまで曲が決まんなくて、やっと決まったあとにも児玉くんが新曲を持ってきて直前に変更したりとか。

──そんなに難航したのはどうしてだったんですか?

福山匠(B) もともと「FLAG」に入れる予定だった2曲を、「ミニアルバムに入れるのはもったいない」っていう話から急遽先送りすることになって、作品としてバランスをとるために何を入れるかってところで時間がかかりましたね。

山崎 「FLAG」っていうタイトルもレコーディング後半の歌入れ頃に決まって。スタジオの廊下で俺が機材片付けてたら、児玉くんがトイレの中から「こういう感じはどう?」って言ってきたんですよ。トイレしながら言わないでくださいって思ったけど(笑)。

児玉一真(Vo, G) 前作「はじまりの唄」をリリースしたあと、ツアー回ってワンマンもやってこの1年間でいろいろなことを経験したので、これまでの自分たちをここで1回区切りたかったんです。これからもっともっとバンドとして大きくなって上を目指していきたいっていう思いを込めて、決意表明の旗を掲げる意味で「FLAG」がいいなあと。便所の中で(笑)。

──改めて決意表明の旗を掲げようと思えたのは、自分たちに自信がついてきたからなのでは?

児玉一真(Vo, G)

児玉 そう……ですね。ワンマンができたのは大きかったかな。

──1月の東京・TSUTAYA O-Crestと広島・CAVE-BEでのレコ発ワンマンですね。東京では初のワンマンライブだったようですが、いかがでした?

児玉 1、2曲目はめちゃくちゃ緊張してたんですけど、対バンのライブとは違うお客さんの反応があって。僕たちだけを観に来てくれてるんだなっていう安心感もやっていくうちに出てきて、最終的には自分たちの空気の中でやれました。

福山 広島は友達とか家族も来てるけど、東京は僕らを初めからバンドとして見てくれてるお客さんがほぼ100%だから。会場が埋まった光景を観たときはすごくうれしかったです。

とにかく曲の完成度を高めたい

──今回新たに挑戦したことはありますか?

福山 挑戦って言ったら「ポップコーン」じゃない?

山崎晃平(Dr)

山崎 「ポップコーン」は児玉くんが最初「曲のイメージわからん」って言い出して(笑)、アレンジが完成する前にレコーディングを始めたんですよ。どうするどうする?って話し合いながらいろいろと音を重ねていって、ちょっとずつ形にしていきました。パーカッションを入れすぎて児玉くんに「うるせえ」って言われたりして(笑)。

──レコーディング当日までアレンジが決まらなかったのは初めて?

児玉 そうですね。コミカルな雰囲気を出したいとは思ってたから、試行錯誤しながら進めていって。だから形になったときの達成感は一番デカかったです。

──その結果、サーカスを思わせるにぎやかな音になったんですね。でもギタリストにとってはあんまり活躍の場がなかったのでは?

大森皓(G) いや、でも面白かったですけどね。普段は出せない音とか、ギターっぽくない音を出そうと思っていろんなことを試してみたり。ちょうどそのとき僕「怪盗グルーのミニオン危機一発」って映画にハマってたので、ミニオンの鳴き声をイメージしてああいう感じにしました。

──この曲に顕著ですが、多彩なサウンドをとり入れるとそのぶんメンバー以外の人が演奏に関わりますよね。どんどんメンバーの存在感が薄くなっている気もしたのですが、そのあたりについてはどう思いますか?

福山 意識してるのは、最終的に曲を一番いい形にするっていうことで。いろんな音を入れるのも、とにかく曲の完成度を高めたいっていう気持ちからなんですよ。でもやっぱりバンドサウンドを基本にするために、4人の軸をしっかりさせたいとは思ってますね。

3rdミニアルバム「FLAG」/ 2014年8月13日発売 / No Big Deal Records / NBDL-0018
[CD] 1944円 / NBDL-0018
収録曲
  1. さらば
  2. Flag
  3. スパイダー
  4. 陽炎
  5. ポップコーン
  6. 青春迷子
「FLAG」リリース記念ワンマンライブ
  • 2014年8月22日(金)東京都 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
“君のポップコーン食べたいけぇ”ツアー
  • 2014年10月24日(金)北海道 COLONY
  • 2014年10月26日(日)宮城県 PARK SQUARE
  • 2014年11月7日(金)岡山県 IMAGE
  • 2014年11月8日(土)福岡県 graf
  • 2014年11月15日(土)愛知県 ell.SIZE(ワンマンライブ)
  • 2014年11月16日(日)大阪府 阿倍野ロックタウン(ワンマンライブ)
  • 2014年11月21日(金)東京都 TSUTAYA O-WEST(ワンマンライブ)
  • 2014年11月23日(日)広島県 ナミキジャンクション(ワンマンライブ)
Goodbye holiday(グッバイホリデイ)
Goodbye holiday

児玉一真(Vo, G)、大森皓(G)、福山匠(B)、山崎晃平(Dr)からなる4人組バンド。2008年に広島で結成。2011年より東京に拠点を移し現在のメンバーとなる。ポップで耳触りのいいメロディ、独特な視点を持った歌詞、存在感のある歌声で着実にファンを増やし、2013年1月に初の全国流通盤「ソラリス」、同年10月に「はじまりの唄」をリリース。2014年8月には島田昌典がプロデュースを務めた「スパイダー」を含む3rdミニアルバム「FLAG」を発表する。