ナタリー PowerPush - KANA-BOON

進化と自信を見せつける新アルバム「TIME」

KANA-BOONがメジャー2ndアルバム「TIME」を完成させた。「DOPPEL」から約1年3カ月ぶりのアルバムとなる本作には、シングル「結晶星」「フルドライブ」「生きてゆく」「シルエット」を含む全12曲を収録。彼らの武器であるダンサブルなアッパーチューンはもちろん、メロディアスなバラードナンバー「愛にまみれて」、バンドの未来を示唆するような「パレード」など、幅広いタイプの楽曲がそろっている。昨年の夏には地元大阪の泉大津フェニックスで野外イベントを開催し、各地のフェスでも高い支持を獲得するなど、今や新世代ロックシーンを象徴する存在となったKANA-BOON。その充実した活動ぶりは本作にも生々しく反映されているようだ。

今回ナタリーではメンバー全員にインタビューを実施。谷口鮪(Vo, G)が「作品性も高いと思うし、自信作ですね」と言い切る「TIME」について聞いた。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 吉田圭子

「TIME」インタビュー

今回は自信作です

KANA-BOON

──メジャー2ndアルバム「TIME」が完成しました。前作「DOPPEL」以降の活動やそこで得た経験がしっかりと生かされた作品だと思います。皆さんの手応えはどうですか?

谷口鮪(Vo, G) 手応えはすごくありますね。セカンドらしい成長が見えるアルバムになったんじゃないかな、と。初めて聴く人にもちゃんと響く、このバンドの魅力をぎゅっと詰め込んだ1枚だと思います。

──お、珍しく自信たっぷりですね。

谷口鮪(Vo, G)

谷口 (笑)。確かに今まであんまり言ってこなかったですよね、こういうことは。でも、今回は自信作です。アルバムの構成としては、6曲目の「フルドライブ」までがA面、7曲目の「生きてゆく」以降がB面というか。それぞれ別の表情が感じられるようになってるんですよ。最初から計算してたわけではなくて、できあがってみたらそうなってたんですど、結果的にすごく作品性が高まったと思っていて。前半はKANA-BOONらしいヒートアップできる曲が中心。後半は寂しさや切なさが染み込んでくる曲もあって、最後の「パレード」までたどり着いたときに「いいアルバムだな」って感じてもらえると思うんですよね。……うん、やっぱり充実感がありますね、全体を通して聴いてみると。「TIME」というテーマもちゃんとアルバムに込められたし。

飯田祐馬(B) 2014年の自分たちのすべてを表せているアルバムだと思うんですよね。シングル4枚(「結晶星」「フルドライブ」「生きてゆく」「シルエット」)もリリース順に収録されていて、変遷もわかるし。

谷口 たまたまですけどね。

小泉貴裕(Dr) 2014年はすごく忙しかったんですけど、そこで感じた気持ちや心境の変化をちゃんとアルバムに詰め込めたとも思っていて。

飯田祐馬(B)

飯田 去年はホントに忙しかったからな。制作して、プロモーションして、ライブもたくさんあって……。

谷口 かなり怒涛の1年でした。今回のアルバムのレコーディングも、肉体的にも精神的にもかなりハードでしたね。

飯田 でも、そのままの勢いで2014年内に録り切れたのもよかったと思うんですよ。ちょっとでも休んでたらダメになっていたかもしれないし、こういう感じのアルバムにはならなかったかな、と。

古賀隼斗(G) 時間が空いちゃってたら、「TIME」っていうテーマじゃなくなってたかもしれない。

谷口 1曲目の「タイムアウト」なんて、まさに“時間が足りない”っていう状況の中で生まれた歌詞やったりするしな。

「こういう曲が作れるようになったんやー」

──バンドの表現力が増しているのも印象的でした。アレンジの幅がさらに広がってますよね。

谷口 お、ありがとうございます。

古賀隼斗(G)

古賀 ギターに関していえば、フレーズやニュアンスだけではなくて、音質まで意識できるようになってきたんですよね。例えば「タイムアウト」だと曲の頭のギターの質感だったり。乾いた音にするためにビンテージのギターを使ってるんですよ。「ターミナル」ではオクターブ奏法の音圧に重点を置いたり、さらに太い音にするためにレスポールを重ねたりしていて。スケジュールはタイトだったんですけど、ギターのアレンジにはしっかり時間をかけさせてもらったんです。すべての曲にこだわりがあって、個性も出せてると思います。

──相変わらずギターのダビングは古賀さん1人で黙々とやってるんですか?

古賀 そうですね(笑)。

谷口 出てくると音の質がすごくよくなってるんですよ。パッと聴いただけで「全然OKだな」と思うことも多かったし。今回のレコーディングは僕からの意見はほとんどなかった気がします。

古賀 僕自身も1つひとつ、納得しながら作業を進められましたからね。鮪が口の出しようがないところまで仕上げていったつもりだし。

小泉貴裕(Dr)

小泉 すごい自信やな(笑)。実際、メンバーそれぞれが考える部分がかなり増えたんですよ。以前はみんなで曲を作って、みんなで精度を上げていくっていうやり方だったんです。今回はスケジュールがタイトだったこともあって、1人ひとりがフレーズを考えて、それをすり合わせるという感じだったので、そのぶん納得できるまでやれたというか。1つひとつの曲をよくしていくことに集中できたし、そこは全然違ってますね、今までとは。

飯田 「ここではこういう弾き方をしたい」というのがパッと出てくることが増えたんですよ。「LOL」は途中でドラムのパターンが変わるんですけど、サビのベースを考えてるときに鮪が「オクターブ? スタッカート?」って言い出して。

谷口 「Beef or Chicken?」みたいな感じで(笑)。

飯田 前だったらすぐに決められなかっただろうし、たぶんただルートの音を弾いてたと思うんです。でも、そのときは「スタッカートで弾こう」って最初から決めてたんですよね。ほかの曲でも、最良のアイデアを出せたかなと。バンド全体のアレンジ力も上がってると思います。

谷口 そうやな。

飯田 例えば「スノーグローブ」はセッションで作ったんですけど、演奏だけ聴いてもすごい王道のど真ん中で大好きな曲ですし、レコーディングでボーカルが乗っかったときに「本当にめっちゃいい曲。こういう曲が作れるようになったんやー」って感動して。

Contents Index
「TIME」インタビュー
「uP!!! NEXT VOL.10 ~KANA-BOONの1, 2, 3で招TIME!!!~」ライブレポート&フォトギャラリー
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ニューアルバム「TIME」 / 2015年1月21日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤 [CD+DVD] / 3996円 / KSCL-2533~4
通常盤 [CD] / 2916円 / KSCL-2535
CD収録曲
  1. タイムアウト
  2. LOL
  3. ターミナル
  4. 結晶星
  5. クラクション
  6. フルドライブ
  1. 生きてゆく
  2. スコールスコール
  3. 愛にまみれて
  4. シルエット
  5. スノーグローブ
  6. パレード
初回限定盤DVD収録内容

「KANA-BOON野外ワンマン ヨイサヨイサのただいまつり!in 泉大津フェニックス」LIVE & 密着ドキュメント収録

  1. A.oh!!
  2. ワールド
  3. クローン
  4. ロックンロールスター
  5. 夜をこえて
  6. 結晶星
  7. さくらのうた
  1. 生きてゆく
  2. レピドシレン
  3. 盛者必衰の理、お断り
  4. フルドライブ
  5. ないものねだり
  6. シルエット
  7. 眠れぬ森の君のため
KANA-BOONのとぅるとぅるかむとぅるーTOUR 2015 ~クアトロだってばよ!編~
2015年2月23日(月)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
2015年2月24日(火)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2015年2月26日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
KANA-BOONのとぅるとぅるかむとぅるーTOUR 2015 ~夢のアリーナ編~
2015年3月23日(月)大阪府 大阪城ホール
2015年3月31日(火)東京都 日本武道館
KANA-BOONのとぅるとぅるかむとぅるーTOUR 2015 ~全国とぅるとぅる編~
2015年4月4日(土)新潟県 新潟LOTS
2015年4月5日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
2015年4月8日(水)宮城県 Rensa
2015年4月9日(木)宮城県 Rensa
2015年4月18日(土)秋田県 Club SWINDLE
2015年4月19日(日)岩手県 Club Change WAVE
2015年4月23日(木)香川県 高松オリーブホール
2015年4月25日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
2015年4月26日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
2015年4月29日(水・祝)鹿児島県 CAPARVO HALL
2015年5月7日(木)愛知県 Zepp Nagoya
2015年5月8日(金)愛知県 Zepp Nagoya
2015年5月10日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
2015年5月12日(火)大阪府 なんばHatch
2015年5月17日(日)北海道 Zepp Sapporo
2015年5月21日(木)東京都 Zepp Tokyo
KANA-BOON(カナブーン)

KANA-BOON

谷口鮪(Vo, G)、古賀隼斗(G)、飯田祐馬(B)、小泉貴裕(Dr)からなる4人組バンド。高校の同級生だった谷口、古賀、小泉を中心に結成され、のちに飯田が合流して現在の編成となり、地元大阪を中心に活動を展開する。2012年に参加した「キューン20イヤーズオーディション」で4000組の中から見事優勝を射止め、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブのオープニングアクトを務める。2013年4月には活動の拠点を東京に移し、同年9月にシングル「盛者必衰の理、お断り」でメジャーデビューを果たし、10月に1stフルアルバム「DOPPEL」を発表する。2014年はテレビ東京系アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」のオープニングテーマ「シルエット」を含め精力的に新作を発表し、8月には大阪・泉大津フェニックスでキャリア最大規模の単独公演を行う。2015年1月にはメジャー2ndアルバム「TIME」をリリース。さらに3月には大阪・大阪城ホールおよび東京・日本武道館にて初のアリーナワンマンライブを控えている。