音楽ナタリー PowerPush - 河村隆一

コンセプト「RRR」に込めたもの

河村隆一が10月1日にミニアルバム「Concept RRR『never fear』」をリリースした。今作は「Rock」「Roots」「Ryuichi」からなる「RRR」(トリプルアール)をコンセプトに掲げて制作され、河村のソロキャリア史上もっともダイナミックなロックサウンドが前面に出た内容に仕上がっている。

ナタリーでは本作のリリースにあわせて河村隆一にインタビューを実施。作品のコンセプトに込めた思いを掘り下げるとともに、さまざまな形でアーティスト活動を続ける彼が今どんな姿勢で音楽と向き合っているのかを聞いた。

取材・文 / 鵜飼亮次

「LUNA SEAのRYUICHI」を強く意識した作品

──まずは今作「never fear」の成り立ちから教えてください。

河村隆一

もともと曲を作っているタイミングでちょうどLUNA SEAのツアーもやっていたので、ロックテイストの曲がたくさんできていったんです。そこにアニメ「新劇場版 頭文字D Legend1 -覚醒-」のタイアップのお話もいただいて、楽曲の傾向がよりそっちのほうに向かっていったという感じですね。アルバムを作るにあたって「Rock」「Roots」「Ryuichi」の「RRR」(トリプルアール)というコンセプトを決めて、そこから作品の方向性がまとまっていきました。

──3つのキーワードの1つには前アルバム「Life」と同じくロックが挙げられていますね。

「Life」は「河村隆一が提案する大人のロックのあり方」がテーマで、アメリカのカントリーから生まれたロックやイギリスから波及したパンクロック、そして1980年代や90年代の音楽などいろんなジャンルの中から僕がカッコいいと思うスタイルのロックを作りました。でも今作は自分の音楽家としての原体験であるLUNA SEAの25年間という自分の足跡の中から音楽の方向性を打ち出していったんです。ギターワークやリズムのあり方などで「LUNA SEAのRYUICHI」というものを強く意識した作品になっています。

ある意味一番うるさいアルバム

──今回の作品はほぼ歌詞のないインストナンバーで始まり、表題曲をはじめとする壮大なロックナンバーが続く。そしてラストはシンプルなピアノ演奏で終わる、というすごくドラマチックな構成だと感じました

1曲目の「Victory」はライブのオープニングSEに使おうと思っていて、最後の「never fear (piano version)」はエンディングにと考えています。だからライブ感がある曲順になっているかもしれないですね。

──楽曲単位で見ていくと、先ほど話していたLUNA SEAの要素についてはSUGIZOさんがギターを弾き、真矢さんがドラムを叩く「愛の唄」にそれを強く感じました。こちらはSUGIZOさんがアレンジの指揮を取ったナンバーですね。

はい。この曲はもともとLUNA SEAのために僕が3、4曲作っていったデモの中の1曲で。プリプロダクションのときにSUGIZOが「ちょっとギターアレンジしたいな」ってことで弾いたテイクがそのまま使われているんです。ドラムもプリプロで真矢くんが叩いていたので彼のイメージが強くあって、2人にそのまま参加してほしいなあと思い、今回こういう形になりました。

──そんな経緯があったんですね。ちなみに楽曲をソロで歌うかLUNA SEAにするかは現在どのように決めているんでしょうか?

フレキシブルに判断しています。「A WILL」には「Grace」という曲があったので「何曲もバラードいらないよなあ」ってことで僕が「これソロでやるね」って引き戻したという感じです。LUNA SEAに残したほうがいいなと思えばそうしますし、ソロのほうがいいなと思えばそうする。

──なるほど。いずれにしても河村隆一ソロ作として考えると、今作におけるバンドの存在感にファンの人たちはきっと驚くでしょうね。

このアルバムを聴くと、これまで僕が作ってきたものとは耳に入ってくるものが違うと感じるはずなんですよ。ある意味一番うるさいアルバムになってる。そのうるささはこれまで「LUNA SEAのRYUICHI」と「河村隆一」の差でもあったもので。ボーカルと同じような定位にある多重録音のギターなど、アルバムのサウンドを聴くことで改めて作品のコンセプトが見えてくると思います。ファンの人たちには大音量で聴いて楽しんでほしいし、ライブで一緒に盛り上がれたらいいですね。

ミニアルバム「Concept RRR『never fear』」2014年10月1日発売 / avex trax
CD+DVD / 3240円 / AVCD-93024/B / Amazon.co.jp
CD / 2700円 / AVCD-93025 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. Victory
  2. never fear
  3. taboo
  4. 長い夜の終わりに
  5. 小さな花
  6. かけがえのない宝物
  7. 愛の唄
  8. never fear (piano version)
CD+DVD盤 DVD収録内容
  • never fear <Music Clip>
RRR Concept Album リリース記念ライブ「never fear」

2014年10月2日(木)東京都 渋谷公会堂
OPEN 18:00 / START 19:00
ゲスト:INORAN

Ryuichi Kawamura 「Greatest Hits Songs」

2014年10月3日(金)東京都 渋谷公会堂
OPEN 18:00 / START 19:00

Ryuichi Kawamura presents No Mic, No Speakers Concert #007

2014年11月14日(金)大阪府 NHK大阪ホール
OPEN 18:00 / START 19:00

2014年11月28日(金)愛知県 三井住友海上 しらかわホール
OPEN 18:00 / START 19:00

河村隆一(カワムラリュウイチ)

1970年5月20日生まれ、神奈川県出身の男性シンガー。1992年にLUNA SEAのボーカリストRYUICHIとしてメジャーデビュー。1997年、バンド活動休止期間中にシングル「I love you」でソロ活動をスタートさせる。2ndシングル「Glass」は100万枚以上、1stフルアルバム「Love」は320万枚を超えるセールスを記録。そのほかドラマ出演や小説の出版、他アーティストへの楽曲提供やプロデュースなどでも活躍。2000年12月のLUNA SEA終幕を経て、2001年よりソロ活動を再開。2005年にはLUNA SEA時代の盟友INORAN(G)と、H.Hayama(葉山拓亮 / Key)とTourbillonを結成し、日本武道館でデビューライブを行った。2009年3月にはマイクを一切使わないコンサート「No Mic, No Speakers」をスタート。2011年5月には日本武道館にて、6時間半で104曲を歌いきるコンサートを行い、ギネスワールドレコーズに認定された。近年は復活したLUNA SEAの活動に加え、役者としてミュージカルや舞台にも出演。2014年10月に「Rock」「Roots」「Ryuichi」の「RRR」(トリプルアール)をテーマに制作したミニアルバム「Concept RRR『never fear』」をリリースした。