ナタリー PowerPush - LiSA

“みんな”と見つけた私の“景色”

LiSAが2ndフルアルバム「LANDSPACE」を10月30日にリリースした。本作でLiSAはスマッシュヒットシングル「best day, best way」の世界をさらに深化。2013年最新モードのガールズパンクとでも言うべき、エッジーなギターロックサウンドを背に、ポジティブな感情もネガティブな感情もすべて飲み込み、自身とリスナーの明日を祝福するメロディを高らかに歌い上げている。

今、最も勢いに乗るボーカリストの眼前にはいかなる“LANDSPACE”=景色が広がっているのか。話を聞いた。

取材・文 / 成松哲 イベント撮影 / 臼杵成晃

“二大ガールズパンク怪獣大激突”の舞台裏

──アルバムの話を伺う前に8月のアニサマ(Animelo Summer Live 2013)について聞かせてください。2日目のLiSAさんのステージが本当にカッコよかったので。

ありがとうございます(笑)。

──まずLiSAさんの前に出てきたのがサプライズゲストの土屋アンナさん。ステージに現れた瞬間、会場はどよめいたんだけど、当の土屋さんは余裕綽々。腰に手を当てつつ、スタンドマイク1本で1曲目を歌い始めて。かと思ったら2曲目では「それ何センチあるんだよ」って高さのピンヒールのまま猛然とダッシュしてみせて。

だからあのあとに出るの、すっごい怖かったんですよ(笑)。しかも最初「LiSAさんの前にゲストさんが出ます」としか聞かされてなくて。本番の前々日くらいにようやく名前を教えてもらったら、出てきたお名前が土屋さんで。本番まで「あっれー?」「大丈夫か? 私」って感じでした(笑)。

──ところがLiSAさんは真っ向勝負に打って出ている。1曲目の「crossing field」からお客さんを煽りまくって。その後のMCでは開口一番「お待たせ」と。当然、純粋にLiSAさんの出番を待っていた人たちに向けた言葉だとは思うんだけど、それでも土屋アンナ→LiSAの流れはあの日のハイライトの1つだと思ってるんです。「二大ガールズパンク怪獣大激突」って感じだったから(笑)。

写真は「LiSAのRoad to 武道館企画☆全国行脚47杯いただきますっ」愛知編(タワーレコード名古屋パルコ店にて実施)の様子。

あはははは(笑)。この前お話したように、不安を抱えていた以前の私だったら、ああいうライブはできなかったと思うんです(参照:LiSA「best day, best way」インタビュー)。「自分のやっていることは間違ってない」とは思うんだけど、どこかあいまいだったから。「間違ってないって信じよう」って自分に言い聞かせながら一歩ずつ進んでいる感じだったんです。でも「タイアップ相手は自分」って宣言した「best day, best way」をみんなが受け入れてくれて。私がライブやCDを通して伝えたかったことがちゃんと届いてたことがわかったら、あいまいな思いが確信に変わって。

──その確信が土屋さんと対峙させてくれた?

はい。「私は今ここでみんなに必要とされているんだ」「ここには私のやるべきことがあるんだ」って信じられるようになったから、あのときも「お待たせ」って言えたのかな?とは思います。あと「crossing field」の存在もすごく大きかったですね。あの曲は「best day~」以上に多くの人に受け入れてもらえた曲。言ってしまえば、爆弾みたいな破壊力のある曲だから「そういう曲があるから土屋さんのあとでも大丈夫」って。

私とバンドのリアルなプレイの伝わる音

──その2曲も収録されている今回のアルバム「LANDSPACE」なんですけど、まずタイトルを「景色」にした理由は?

「best day~」をリリースしてあいまいな思いが確信に変わったら「今私が見渡している景色すべてが私の居場所なんだ」って思えるようになったので。

──確かにこのアルバムの中のLiSAさんは確固たる居場所を見つけた感じがします。1stフルアルバム「LOVER"S"MiLE」はご挨拶とばかりにLiSAさんの実力を見せつける、バラエティに富んだ内容になっていた。ラップを披露した「ROCK-mode」もあれば、6/8拍子の「アンフィル」もあるし、デジロックの「EGOiSTiC SHOOTER」もあって。

そうですね。

──でも「LANDSPACE」の音はもっと本質的というか、一貫してLiSAさんのルーツ寄り。LiSA名義なんだけど、サポートバンドメンバーの顔がしっかり見えるロックバンド感、パンクバンド感のあるサウンドをガッツリ鳴らしていて。しかも、いわゆるパンクロックほどシンプルではない。アレンジやリズムパターンのバリエーションは豊富だし、音数も多い。

今回のアルバムがそういう音になったのはライブをイメージして作ったからなんです。去年の春に野音でライブをやって、「crossing field」が受け入れられてからは、いろんなイベントにも呼ばれるようにもなって。そうやってライブを続けていくうちに自分がライブでやりたい音楽がわかってきたので。その「やりたい音楽」っていうのは、さっき言っていただいたように「3ピースで音を出します」っていうようなものではなくて、キーボードや電子音も入っている。でも全部をリアルに私とメンバーが演奏していることがちゃんと伝わる音を目指したので。

ニューアルバム「LANDSPACE」 / 2013年10月30日発売 / アニプレックス
初回限定盤 [CD+Blu-ray+DVD] 4200円 / SVWC-7961~3
通常盤 [CD] 3150円 / SVWC-7964
収録曲
  1. Canvas boy × Palette girl
    [作詞:古屋真 / 作曲:黒須克彦 / 編曲:akkin]
  2. コズミックジェットコースター
    [作詞:LiSA / 作曲:黒須克彦 / 編曲:黒須克彦]
  3. crossing field
    [作詞:渡辺翔 / 作曲:渡辺翔 / 編曲:とく]
  4. DOCTOR
    [作詞:LiSA / 作曲:カヨコ / 編曲:堀江晶太]
  5. 僕の言葉で
    [作詞:LiSA / 作曲:黒須克彦 / 編曲:黒須克彦・星野孝文]
  6. best day, best way
    [作詞:田淵智也 / 作曲:田淵智也 / 編曲:akkin]
  7. ヒトリワラッテ
    [作詞:wowaka / 作曲:wowaka / 編曲:wowaka]
  8. say my nameの片想い
    [作詞:LiSA・田淵智也 / 作曲:田淵智也 / 編曲:akkin]
  9. うそつきの涙
    [作詞:古屋真 / 作曲:清水葉子 / 編曲:akkin]
  10. 逆光オーケストラ
    [作詞:古屋真 / 作曲:磯崎健史 / 編曲:堀江晶太]
  11. traumerei
    [作詞:HIDEO NEKOTA / 作曲:HIDEO NEKOTA / 編曲:akkin]
  12. winding road
    [作詞:LiSA / 作曲:LiSA / 編曲:akkin]
初回限定盤Blu-ray / DVD収録内容

シングル曲「oath sign」「crossing field」「best day, best way」「traumerei」のビデオクリップ / メイキング映像 / CMスポット収録。

LiSA(りさ)
LiSA

6月24日生まれ、岐阜県出身。学生時代よりバンド活動を始め、2008年に活動の拠点を東京に移す。2010年春にはテレビアニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster」の2代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、同年5月にGirls Dead Monster名義のシングル「Thousand Enemies」をリリース。Girls Dead Monsterでの活動が好評を博し、2011年4月にはLiSA名義のミニアルバム「Letters to U」でソロデビューを果たす。同11月にリリースしたアニメ「Fate/Zero」のオープニングテーマ「oath sign」と、アニメ「ソードアート・オンライン」のオープニング曲となった2012年8月のシングル「crossing field」はともにオリコン週間シングルランキング5位に輝く。その一方で2011年末に東京・日本武道館で開催された「リスアニ!LIVE 2011」でヘッドライナーを務め、2012年4月には2月リリースの1stフルアルバム「LOVER"S"MiLE」を携え、東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブを開催。2010年にGirls Dead Monsterとして出演して以来、毎年「Animelo Summer Live」に招へいされるなど、そのステージパフォーマンスにも評価が集まっている。2013年には「best day, best way」「traumerei」(※「a」はウムラウト記号付きが正式表記となる)という2枚のシングルをリリースし、10月には2ndフルアルバム「LANDSPACE」を発表した。