音楽ナタリー PowerPush - Monkey Majik+吉田兄弟

ハイブリッドな彼らの遊び心満載7年ぶりコラボ

MONKEY MAJIKと吉田兄弟がコラボレーションシングル「夏の情事」をリリースすることを受けて、ナタリーでは全メンバー参加のインタビューを敢行した。この2組の共演は、2007年発売のシングル「Change」以来2度目。友達ノリと互いへのリスペクトを持ち併せた彼らが、「夏の情事」の制作過程まで、三味線とバンドの融合、そしてアーティストとしてのアイデンティティについて語り合った。

取材・文 / 鳴田麻未 撮影 / 佐藤類

居酒屋の音をそのまま録音

──MONKEY MAJIKと吉田兄弟がコラボ作品をリリースするのは、2007年のシングル「Change」以来ですね。再コラボの発端は、2012年の秋に北米ツアーを一緒に回った際、メンバー同士でもう一度やろうと盛り上がったことだと聞きました。

Maynard(Vo, G)

Maynard(Vo, G) そうですね。でもその前からずっと、いつかまたやりたいなって思っていました。実際に曲ができるきっかけになったのは、3月に仙台で一緒に飲んだときですね。僕らの新しいラジオ番組がスタートするとき、最初のゲストとして吉田兄弟に来ていただいて、2人が前乗りしたから居酒屋で飲むことになったんです。そこに三味線を持ってきてもらって、僕らもギターを持っていって、ジャムセッションになったんです。

吉田健一 ひどいですよ。三味線って湿気に弱いのに、途中から鍋料理が出てきて(笑)。

一同 あははは!(笑)

DICK(B) 料理はお任せだったんだけど、三味線が湿気に弱いっていうのをお店の人に言っとくのを忘れてたんですよ。

Maynard (笑)。そこでジャムったら、すごくいいフレーズができて「これいいなあ」ってなって。そのとき、忘れないようにiPhoneで音を録ってたんですけど、それをそのまま曲の頭に入れることになりました。

健一 まさかそれをそのまま使うとは思わなかったけど、あの居酒屋の自然な感じは改めてスタジオで作ろうと思ってもたぶんできないだろうねっていうことで。だからちょっとうしろがガヤガヤしてて店員さんが「ありますよね!」みたいなこと言ってるんだよね(笑)。聴いて探してください。

ひとり歩きした前作「Change」

──7年前に出した「Change」は、国内でも、そして海外でも高い評価を集めました。この反響の大きさは皆さん自身も肌で感じ、今回の再共演に関係したんでしょうか?

健一 「Change」の存在は僕らにとってもすごく大きくて。逆にその反響があったからこそ、なかなか次に行けなかったっていうのもあるんです。“あれを超えるもの”をずっと考えていたんだけど、今回はもう超えるんじゃなくて全然違うものを作ろうっていう発想で作っていきました。それで歯車が回り始めて、完成につながったかなとは思います。

──「Change」の大きさとは具体的に言うと?

健一 僕ら吉田兄弟からすると、津軽三味線がもともと持ってるフレーズとバンドが、完全に融合した初めての曲なんです。本当にすごくマッチしてるので、あれ以上ないんじゃないか、あれ以上ってなんなんだろうってすごい考えちゃったし。

吉田良一郎

吉田良一郎 一昨年アメリカツアーをしたときも、アンコールの最後は「Change」。始まると「キター!」みたいな感じでワー!っとなるんで、お客さんがこれを待ってるんだっていうのはステージでかなり感じましたね。

Maynard うん、国外ではすごかったね。国内ももちろんそうですけどやっぱ外国人の友達とか同級生とかはみんな「あの曲いいよね」って言ってくれますね。もしかして今、海外にMONKEY MAJIKのファンがいるとしたら、それは「Change」のおかげじゃないかなと思うんですよ。それくらい海外の人があの曲で引っかかってくれた。

健一 曲がひとり歩きした感はけっこうありますね。羽生(結弦)くんもそうだけど(参照:MONKEY MAJIK、フィギュア羽生結弦の地元宮城で共演)、僕らとは直接関係のないところで周りの人が使ってくれたりして、この7年つないでくれた、育てられたっていう感じがする。僕らの関係がずっと変わらないのも、曲と、それをつないでいってくれた人たちのおかげだなって思います。

DICK あとオバマ大統領も使ってくれたよね。

健一 え! ウソでしょ!?

DICK 使ったってことにしたら、もうそうなるかなって(笑)。

Maynard ははは(笑)。

健一 “Change”だったらありえそう(笑)。でもそれくらい曲に力があるなって感じてます。

──双方にとって重要な曲になったと。それがあったがゆえに、第2弾をどういうものにするかは安易に決められなかったというわけですね。

健一 はい。それからこの期間には震災もあって、音楽というものを見直したり、自分の立ち位置を改めて考える中でも「Change」の存在があって、次は何にしようかっていうのは自然と考えさせられましたね。

Monkey Majik+吉田兄弟ニューシングル「夏の情事」 / 2014年7月16日発売 / binyl records
[CD+DVD] 1944円 / AVCH-78060/B
[CD] 1080円 / AVCH-78061
CD収録曲
  1. 夏の情事
  2. Change -FPM LEGENDARY HOUSE MIX-
  3. 夏の情事 -INSTRUMENTAL-
CD+DVD盤 DVD収録内容
  • 夏の情事 -Music Video-
  • The Making of "NATSU NO JOJI"
BLUE MOON presents MONKEY MAJIK JAPAN TOUR 2014
  • 2014年9月13日(土)埼玉県 戸田市文化会館
  • 2014年9月28日(日)東京都 中野サンプラザ
  • 2014年10月11日(土)東京都 ルネこだいら 小平市民文化会館
  • 2014年10月13日(月・祝)新潟県 新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)
  • 2014年10月18日(土)福岡県 福岡国際会議場
  • 2014年10月25日(土)北海道 札幌市教育文化会館 大ホール
  • 2014年11月9日(日)広島県 アステールプラザ 大ホール
  • 2014年11月23日(日)愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
  • 2014年11月30日(日)大阪府 フェスティバルホール
  • 2014年12月20日(土)宮城県 仙台サンプラザホール
MONKEY MAJIK(モンキーマジック)

MONKEY MAJIK

カナダ人の兄弟Maynard(Vo, G)、Blaise(Vo, G)と日本人のtax(Dr)、DICK(B)からなる仙台在住のロックバンド。 2000年に結成され、2006年1月にbinyl recordsより1stシングル 「fly」 をリリース。 ネイティブな英語と日本語が交互に飛び出す歌詞と、洋楽と邦楽の良さ両方を取り入れたメロディが魅力。2ndシングルの 「Around The World」 はフジテレビ系ドラマ 「西遊記」 の主題歌としてヒットを記録。さらにヨコハマタイヤイメージソングとして「空はまるで」が話題となり、アーティスト性を確立した。 2011年1月には 「東北観光親善大使」 に任命され、同年から東日本大震災復興支援プロジェクト 「SEND愛」 を主催。その後も東北復興支援に向けた活動を継続している。また2012年は、アジアや北米など初のワールドツアーを成功させた。2014年9月から全国10会場で「BLUE MOON presents MONKEY MAJIK JAPAN TOUR 2014」を実施する。

吉田兄弟(ヨシダキョウダイ)

吉田兄弟

兄の吉田良一郎、弟の吉田健一による津軽三味線奏者ユニット。ともに5歳から三味線を習い始め、幼少期から数々の賞を受賞。1999年にデビューアルバム「いぶき」をリリースし、2003年8月にはアルバム「Yoshida Brothers」で全米デビューを果たす。以降日本国内のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、アジアでも広く活動し、2007年には全米のCM「Wii」に楽曲が使用されていっそう名を広めた。また、MONKEY MAJIK、EXILE、ももいろクローバーZ、DAISHI DANCEなど他のアーティストとのコラボレーションも積極的に行っている。