音楽ナタリー PowerPush - ナタリー×an 教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~

N'夙川BOYSの場合

最新アルバム「Do You Like Rock'n Roll !?」をリリースしたばかりのN'夙川BOYSが、アルバイト・求人情報サイト「an」とナタリーとのコラボレーション連載企画「教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~」に登場。ド派手でアグレッシブなライブパフォーマンスに定評のある彼らだが、バイトをしながらバンド活動を続けてきた一面を持つなどかなりの苦労人かつ努力家でもある。今回は3人にバイトにまつわるエピソードを聞き、バンドマンとバイトの切っても切れない深い関係を紐解いてみた。

なおanの特設サイトでは、事前に寄せられたバイトに関する質問や悩み相談へのN'夙川BOYSによる回答が掲載されているので、こちらもあわせてチェックしてほしい。

取材・文 / 中野明子 撮影 / 小坂茂雄

長続きさせる秘訣は“忍耐”

──初めてやったバイトってなんですか?

N'夙川BOYS

リンダdada 私は15のときにやった地元のガソリンスタンドでしたね。CDと洋服を自分で買いたくて。

──15歳というと高校生ですよね。学校との両立はいかがでしたか?

リンダ 初めて働いたガソリンスタンドは制服がかわいくて応募したんです。ただ、冬場の二層式洗濯機の水の冷たさに手がめっちゃ荒れてしまって。確か半年くらいで辞めました。

マーヤ 俺、初めてのバイトはファミレスの厨房か地元の寿司屋だった気がするんですよね。17歳くらいですかね。

──始めるきっかけはなんだったんですか?

マーヤ 特になかったんですよ。そんなに外に出る人間じゃなかったし、お金が欲しいとかでもなくて。ただ周りがバイトしてたんですよね。それでなんとなくバイトせなあかんっていうか。友達がやってる店の厨房に誘われて、天ぷらをずっと揚げさせられたんですけど、手が一緒に揚がってるような状態で。初めてのバイトは早々に辞めた気がする。

──一方で長く続いたバイトは?

マーヤ 掃除屋ですね。今も継続してる状態なんですけどね。いつでも戻れるように籍は置かせてもらってるんです。夜中にたまに「バイトの子が病欠で来れないから来てくれないか」って声もかかるし、一昨年くらいまではけっこうしっかり働いてましたね。コンビニの掃除に入るとたまに顔がバレて、こっそり店員の子が「マーヤさん、コーヒーいりますか?」って聞いてきたり(笑)。

──なぜ掃除屋の仕事をすることに?

マーヤ バンドをやっていく上で一番時間の都合がつくのが清掃業だったんです。あと、周りに清掃業をやってるバンドマンがいたんですよ。最初はヘルプで入ってたんですけど、生活に合ってたんでしょうね、自分で地元の清掃会社を調べて応募したんです。実は最初に面接を受けて働いた清掃会社の作業着が、今、夙川で着てる衣装と同じデザインなんですよ。ただそこは社長が夜逃げして潰れちゃったんですけど(笑)。一時期は4社くらい清掃会社掛け持ちしてて、ライブ終わったら働きに行くみたいな生活をしてました。バンドを続けるためにやるしかない状態だったんですけど、あるときスケジュールを入れすぎて、全部に遅刻して「これはマズイ」ってんで調整していきましたけど。

──シンノスケさんもバイト経験が豊富そうですが、一番長く続いたバイトってなんでしたか?

シンノスケ パチンコ屋ですね。わりとディープな地域にあるパチンコ屋だったんで、朝から並んで1日中いる人とか、世の中にはいろんな人がいるなあと思ってやってましたね。1回パチンコ屋辞めてガソリンスタンドで働いたこともあるんですけど、やっぱりパチンコ屋はバイト代がいいんですよ。だから結局戻りましたね。

──バイトを長続きさせる秘訣ってなんだと思いますか?

リンダ 諦めないことですね。もちろん人間関係とか悩むことはあります。でも最初の1~2年我慢したら慣れますね。あとバイトが最終目的地じゃなくて、みんなそれぞれ目標を持ってたりするんで、社員以外は抜けていくことが多いし。だから“忍耐”が大事だと思います。

マーヤ 俺の場合は、自分に合ったバイトだからでしょうね。単純にバンドと両立できる環境を選んでたら清掃業だった。バンドを優先することが自分の中で一番大事だったんで。だからそれまでやったバイトはあんまり性分に合ってないから長続きしなくて。中でも接客業は苦手でした。

バイトはいろいろ経験できる場

──これまでやってきたバイトの中で印象的だったものはありますか?

リンダ いろいろあるなあ。ケーキ屋とか、派遣で行った工場とか。コンビニで7年くらい働いてて、そこをベースにしてライブハウスでの仕事を掛け持ちしたり。とにかくバイトって、いろいろ経験ができるのが楽しいんですよね。

マーヤ この人、変わったバイトが好きなんですよ。いきなり「革靴作りたい!」とか言い出して、革靴作ってる会社に面接に行ったりして。「あそこ、ちょっと行ってみたい」って言ってたと思ったら、いつの間にか働いてるんですよ、リンダは。

リンダ 特に細かい作業が好きなんですよ。そこで知識を得たら、自分でもできるようになるじゃないですか。だからペンキ塗る仕事とか、壁の修復士とか……。いろいろやってきましたけど、絶対3カ月以上は働きますね。3カ月でだいたいのことが把握できるんですよ、上下関係とか派閥とか。そこで続けるかどうか判断しますね。バイト先でいろんな目を養ってきました。

──バイト先で影響を受けた人っていますか?

N'夙川BOYS

マーヤ めちゃめちゃいます。清掃会社の社長やスタッフには特に影響受けましたね。俺の場合、バンドをメインにしてるので職種が限られてくるし、アグレッシブにバイトを変えることができないんですよ。まず面接に受からないし。で、受かったとしてもバンド活動をしていく上で、絶対に周りの協力が必要なんですよ。ツアーとかで長期間休むときは周りを説得しなきゃいけないから、「バンドでメシ食うためにがんばってるんです」ってこっ恥ずかしいことを本気で言わないと伝わらないし、協力してもらえないんですよ。でもちゃんと伝えたら「じゃあ、お前は来たいときに来ていいから」って言ってくれて。ただ「遅刻したらあかんぞ」「手を抜くな」「自分の言ったことに責任持て」とか、当たり前のことですけどめっちゃ言われましたね。社長なんて「社会に出たら、8割がお前のことが嫌いだと思っとけ」とか言うし。すごい勉強になりましたね。

──バイトって気軽さもあると思うんですけど、一方で雇用主や社員も責任のあるポジションを任せることが少なかったり、怒ってくれる人がいなかったりすると思うんです。

マーヤ 前にちょっと気になって、社員の人に「間違ったことしてるヤツをなんで怒らんの?」って聞いたら、「だってすぐ辞めるやろ? そんなヤツに教える気にならん」と。ある程度続いたら「こいつ、やる気あるのかも」って教えるのかもしれないですけどね。昔は初日からバンバン言われてましたから(笑)。かなり鍛えられましたよ。

──長く働いてると、指導する立場になったりしませんか?

マーヤ なりますね。ただ立場が逆転するケースもあるんですよ(笑)。能力的にというよりは、僕の場合はバンドがあるのであえてバイトの立場で働いてるんです。すると後輩だった人間が、正社員になって自分の上司になる。昨日まで先輩として接してた人にいきなり上司として指示を出さなきゃいけないからっていうんで、その子に悩まれたり。結局、正社員として“普通”にやったらいいって話になって、「昨日まで○○くんって呼んでたと思うけど、今日から○○さんって呼んでね」とか言われたり、それまで助手席に座ってたのが後部座席になったり(笑)。

リンダ それはちょっと複雑やな。

シンノスケ 僕は逆でしたね。解体現場で働いてたとき、それまで上の人に現場に連れて行ってもらってたのが、途中から派遣のおじさんたちを現場に連れて行く立場になって。ホンマにめちゃめちゃ危険なんですよ、解体って。ビルを壊したり、アスベストを剥がしたり。でもなんとか派遣のおじさんたちが死なないように毎日守って。緊張感もありましたけど、責任感も生まれたしいい経験でしたね。

マーヤ 生死関わるもんなあ。

シンノスケ 指とか何回も取れそうになりましたもん。足場から落ちた人もいましたし……。落石防止のネットを張るために、雪の中で安全帯付けて作業したときもあって、体を張った仕事もしてましたね。やっぱりバンドマンで短期間でお金を稼ごうと思ったら現場になるんですよ。

──そんなハードな現場が、夙川の破天荒なステージパフォーマンスに生かされてそうですね。

シンノスケ かもしれないですね(笑)。

ナタリー×an 教えて!センパイ~あの頃のバイト生活~

「an」特設サイトではナタリーとの連動企画として、一般ユーザーから寄せられたバイトに関する悩みや相談にゲストが答えるコーナーを掲載。N'夙川BOYSにはインタビューとあわせて、さまざまな質問に答えてもらった。

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N'夙川BOYS ニューアルバム「Do you like Rock'n Roll !?」 / 2014年11月26日発売 / Victor Entertainment
「Do you like Rock'n Roll !?」
初回限定盤 [CD+DVD] / 3780円 / VIZL-747
通常盤 [CD] / 2808円 / VICL-64263
CD収録曲
  1. 夙川ボーイズ(やっぱレコードやネ)
  2. BANDがしたい!
  3. 悪魔のPOP
  4. PLEASE PLEASE
  5. ジーザスフレンド(フルレングスverっす)
  6. ストロベリータイムズ
  7. GOD BREATH YOU
  8. わらびもちめちゃうまい!
  9. SON OF A GUN(cover)
  10. RUN RA RA RA RUN
  11. GEISHA
  12. 未来はONLY LONELY(時は経ちnow,Re:Rec)
  13. ARE YOU KO.I.WA.ZU.RAI?
  14. THANK YOU(やっぱバンドやネ)
初回限定盤DVD収録内容
  • VIDEOS:「ジーザスフレンド」「BANDがしたい!」「PLEASE PLEASE」
  • LIVE MOVIES:「Boys and Girls」「Freedom」「Hello,999」「kiss kiss」「フェアリー」「Change」「超面倒くせぇ!!!」
N'夙川BOYS(ンシュクガワボーイズ)

N'夙川BOYS

2007年2月、マーヤLOVE、シンノスケBoys、リンダdadaの3名により大阪・太陽の塔の下で結成。「N’夙川ボーイズ」「LOVE SONG」の2枚のアルバムをインディーズでリリースし、耳に残るキャッチーな楽曲と担当パートを固定しないスタイルなど、独自の魅力でライブハウスを席巻する。2011年8月にミニアルバム「PLANET MAGIC」でビクターエンタテインメントからメジャーデビュー。同年公開の映画「モテキ」にも出演し、劇中で見せた型破りなライブパフォーマンスが話題を集めた。2012年10月にアルバム「24HOUR DREAMERS ONLY!」をリリースし、2013年3月にベストアルバム「THANK YOU!!!」を、12月にはアルバム「Timeless Melody」を発表。2014年6月には、ドラマ「SMOKING GUN?決定的証拠?」の主題歌として書き下ろした「ジーザスフレンド」をシングルとしてリリースしている。11月にニューアルバム「Do you like Rock'n Roll !?」を発表。