コミックナタリー PowerPush - ナタリー×「龍三と七人の子分たち」

ジジいいね! 龍三と七人の応援団

Dream / E-girls Aya 編

元ヤクザの龍三ら8人のジジイがオレオレ詐欺集団のアジトにカチコミ! 4月25日に公開される北野武監督最新作「龍三と七人の子分たち」は、これまでのどの北野映画よりもエンタテインメント性が高く、老若男女楽しめる作品となっている。

ナタリーでは、映画、音楽、コミック、お笑いなど多方面から“龍三応援団”を募集し、映画の公式サイトと連動したインタビュー企画を実施。音楽ナタリーではE-girlsのリーダーでDreamとしても活躍するAyaに声をかけ、映画を観た感想から自分なりのリーダー論までを語ってもらった。

取材・文 / 大谷隆之 撮影 / 笹森健一

「今この瞬間をもっと懸命に生きよう」って感じました

──いかれたジイさんたちが大暴れする映画と、本格的なダンスパフォーマンスが売りのE-girls。あまり接点がなさそうですけど、作品をご覧になっていかがでした?

Aya

最初から最後までひたすら笑ってました。実は私、普通の女性に比べると、いわゆるヤクザ映画は観慣れてるほうだと思うんですね。お父さんが「難波金融伝・ミナミの帝王」シリーズとか大好きで、「わあ、ディープで怖そうな世界やなあ」と感心しながら一緒に観てましたから。だけど「龍三と七人の子分たち」は、私が知ってた映画とはまるで違っていて……。イメージが根本から覆された気がしました。そこがすっごく面白かった。

──どんなところが斬新だったんでしょう?

そうですね……まずはやっぱり、ギャグがめいっぱい詰まっているところ。会話のテンポが最高で、漫才を見てるみたいなんですよね。お年寄りの元ヤクザと“オレオレ詐欺”の若者集団がずっと噛み合わない話を続けるシーンとか、思わず爆笑しちゃいました。吉本新喜劇を観て育った私には理屈抜きでしっくりきます(笑)。でも私が惹かれた理由は、たぶんほかにもあって……。

──ただ単に笑えるだけじゃなかったと。

はい。この映画って、歳をとったおじいちゃんたちがちゃんと素敵に見えますよね。もう引退して、質素な暮らしをしているのに、若くてイケイケな京浜連合よりずっと魅力があります。しかもそのカッコよさは、「ミナミの帝王」っぽいギラギラ感ともひと味違っていて……どこか切なさも感じるんですよね。若い頃はそれこそ萬田銀次郎さん(※「難波金融伝・ミナミの帝王」の主人公)みたいにブイブイ言わせてたかもしれないけど(笑)、残念ながら今はそうじゃない。しかもその事実を、実は本人たちが一番よくわかっているという。

──確かに龍三とその子分たちは、自分らが時代遅れであることを受け入れてる気配がありますよね。その上で、あえて開き直ってハジけている。

「龍三と七人の子分たち」より。

はい(笑)。映画を観ててふと思ったんですけど、そうやって歳をとってもパワーが薄れないのは、きっと若い頃に全力で生きたことが大きいんですよね。だって龍三さんたちの生き方って、昔と全然変わってない感じがしません? 強きをくじき弱きを助けるっていうのかな。「このおじいちゃんたち、ずっとそうやって生きてきたんだろうな」という気配が伝わってくる。そこもすごく好きでした。この映画を観て「今この瞬間をもっと懸命に生きよう」って強く感じました。

──ははは(笑)。“切った張ったの世界”を生き抜いてきた龍三親分に、逆に励まされたと。

あ、もちろんヤクザな人生に憧れてるわけじゃないですよ(笑)。でも、切なくてカッコいい龍三さんを見ていると、今の生き方が後々の人生を左右するんだなって強く思いました。この瞬間をどれだけ本気で生きてるかで、チャーミングなおばあちゃんになれるかどうかが決まる。そんなことも教えてもらった気がします。

仲間と再結集して生き返ったおじいちゃんの気持ち、わかります

──そういえば一龍会の“グループ力”もすごかったですね。1人ひとりでは弱っていた元ヤクザたちも、再結集するとみるみるうちに生気を取り戻していきます。

「龍三と七人の子分たち」より。

私自身、Dreamというグループを13年間続け、今はE-girlsのリーダーもやらせていただいてるので、そこはすっごくリアルに感じました。メンバー同士の波長が完璧に合ったときって、ソロでは絶対に出せない巨大なパワーが作れるんですね。それには各自が甘えることなく、常に切磋琢磨していかないといけないんですけど……でも、気心の知れた仲間と一緒にいられる心強さは、やっぱり大きいです。だから再結集して生き返ったおじいちゃんの気持ち、わかりますよ(笑)。

──そういう緊張感と安心感のバランスみたいなものは、リーダーとして日頃から意識されてますか?

すごくしますね。「今、みんなの気持ちがひとつになってる」という空気感を、グループ内でいかに保てるか。それによってパフォーマンスの質も全然変わってくるんです。特に最近はアリーナツアーがメインになり、デビュー当時に比べてステージも大きくなっていて。メンバー同士の物理的距離が広がると、やっぱり呼吸も合いづらくなる。でも、日々のレッスンやリハーサルでちゃんといい空気感が作れていれば、どんなに大きい会場でもメンバーの存在を身近に感じられるんです。1人で踊ってる感覚に陥らなくてもすむ。普段からなるべく目配りをして、E-girlsをそういうコンディションに持っていけるよう気を付けています。

──龍三とその子分たちも、普段はけっこうケンカしながらも、心の底ではお互いに信頼し合っている。E-girlsと龍三たち、最初に「あまり接点がなさそう」と言いましたが、意外に似通った部分もありそうです。

Aya

E-girlsのメンバーも普段からずっと一緒にいて、もう家族みたいな距離感になってますから、そうかもしれませんね(笑)。ちなみにグループの一体感が作れているかどうかを判断する一番の材料は、やっぱり客席の温度なんです。自分たちではよくわからなくても、ステージに出た瞬間ワッとリアクションがあると、「ああ、私たちひとつになれてる」と実感できる。映画を観て面白かったのは、龍三さんたちも外部の人がいると張り切るでしょ。

──ああ、確かに。居酒屋やサウナで店員さんが驚いた顔をしていると、比例して調子が出てくるという(笑)。

そうそう! 私がすっごく印象的だったのは、詐欺商法の販売員が子分のいる団地を訪ねてくるシーン。奥のふすまを開けると、小さな部屋に一龍会のおじいさんたちがギッシリ詰まっていて……無言の空気から出るあの“圧”こそが、グループ力だと思うんですよね。あれは私たちも見習わなきゃです(笑)。いつもの仲間が集まったときに生まれる、自分たちだけの空気感。そういうのは、いくつになっても感じていたいなあって。

「龍三と七人の子分たち」 2015年4月25日 全国公開

「龍三と七人の子分たち」

70歳の高橋龍三(藤竜也)は、「鬼の龍三」と呼ばれおそれられていた元ヤクザの組長。ある日、オレオレ詐欺に引っかかったことをきっかけに、元暴走族で構成される「京浜連合」と因縁めいた関係になる。詐欺や悪徳商法を繰り返す「京浜連合」にお灸を据えるため、博打好きの兄弟分「若頭のマサ」(近藤正臣)や寸借詐欺で生活する「はばかりのモキチ」(中尾彬)、戦争に行ったこともないのに今でも軍服に身を包む「神風のヤス」(小野寺昭)、ほかにも「早撃ちのマック」「ステッキのイチゾウ」「五寸釘のヒデ」「カミソリのタカ」という異名を持つ仲間たちと「一龍会」を結成。次々に「京浜連合」の活動を妨害していくが……。

スタッフ

監督・脚本・編集:北野武
音楽:鈴木慶一

キャスト

龍三親分:藤竜也
若頭のマサ:近藤正臣
はばかりのモキチ:中尾彬
神風のヤス:小野寺昭
早撃ちのマック:品川徹
ステッキのイチゾウ:樋浦勉
五寸釘のヒデ:伊藤幸純
カミソリのタカ:吉澤健
京浜連合ボス・西:安田顕
京浜連合・北条:矢島健一
京浜連合・徳永:下條アトム
龍三の息子・龍平:勝村政信
キャバクラのママ:萬田久子
マル暴の刑事・村上:ビートたけし

毎週更新!カウントダウン・インタビュー

「龍三と七人の子分たち」オフィシャルサイトにて掲載中
芸人 松村邦洋
モデル 今井華
タレント 武井壮
ナタリー×「龍三と七人の子分たち」
EXILE / 三代目 J Soul Brothers NAOTO
芸人 大久保佳代子
マンガ家 清野とおる
Dream / E-girls Aya
監督 北野武
Dream / E-girls(ドリーム / イーガールズ)
Aya(アヤ)

1987年生まれ大阪府出身。2002年7月にガールズエンタテインメントグループ・Dreamのメンバーとして加入し、ほかのメンバーの加入や脱退を経て、2012年より現在の4人組体制に。起伏に富んだ道を歩みながらも2014年11月にリリースしたシングル「ダーリン」は、グループ結成14年目にして最高位となるオリコンウィークリーランキング4位を記録した。また、2011年からLDH所属の女性グループのメンバーを中心に構成されたE-girlsとしても活動しており、Ayaはリーダーを務めている。


2015年4月21日更新