音楽ナタリー PowerPush - SHURE × キュウソネコカミ

ワイヤレスで解放される真のパフォーマンス

SHUREのワイヤレスシステムを用いたキュウソネコカミのライブ映像が、同社のYouTube公式チャンネルで公開された。

映像は昨年11月に東京・TSUTAYA O-EASTで実施されたキュウソネコカミの対バンツアー「試練のTAIMANツアー~地方巡業編~」の東京公演での熱演を捉えたもので、ギター / ベース向けデジタルワイヤレスシステム・GLXD16やワイヤレスハンドマイクのBLX2/BETA 58Aを駆使したバンドの自由度の高いパフォーマンスを観ることができる。

今回ナタリーでは、キュウソネコカミのヤマサキセイヤ(Vo, G)、オカザワカズマ(G)、カワクボタクロウ(B)の3人にインタビューを実施。ワイヤレスを導入したことによるライブパフォーマンスの変化やライブハウス規模の公演でワイヤレスを使う意義に加え、最新作「ハッピーポンコツランド」の聴きどころについても聞いた。

取材・文 / 加藤一陽 撮影 / 梅田航 協力 / ビクターエンタテインメント

※ライブ映像の配信は終了しました

中開けて見せろや! 俺のゴッパーやんけ!!

──SHUREのワイヤレスシステムについて伺いたいのですが、まずは皆さんがSHUREというブランドにどういった印象を持っているかを教えていただけますか。

左からカワクボタクロウ(B)、オカザワカズマ(G)、ヤマサキセイヤ(Vo, G)。

ヤマサキセイヤ(Vo, G) 僕らは軽音楽サークル出身のバンドなんですけど、マイクといえばSHUREというイメージ。

オカザワカズマ(G) うん。僕らが所属していたサークルって60年くらい続いているサークルだったんですけど、今はもう使われへんやろっていうSHUREのマイクがゴロゴロ出てきてた(笑)。

カワクボタクロウ(B) 部室とかライブハウスにあるゴッパー(SM58)ってさ、グリルボールの中にゴミがいっぱい詰まっているイメージがある(笑)。

オカザワ でもすごく丈夫だし、大きなメーカーさんやから信頼できるって印象もあるな。

カワクボ あとは、なんか一番初めに買うマイクってゴッパーだろう、みたいなイメージもありますよね。

ヤマサキ 僕も初めて買ったマイクがゴッパーで……1日でパクられたけど(笑)。それまではほかのブランドのマイクを使っていたんですけど、それがダメになったから「よっしゃ、SM58買ったろ!」って買って、「やっぱり音の抜けが違うな」って喜んで、それで忘れて帰って……取りに戻ったらもうなかった。

──はははは(笑)。やっぱりSHUREといえばマイク、そしてSM58のイメージは定着しているんですね。サークルの部屋やライブハウスで「このゴッパー誰の?」みたいなやりとりってよくありますし。

ヤマサキセイヤ(Vo, G)

ヤマサキ グリルボール外すと中に名前が書いてあって。「おい、中開けて見せろや! やっぱり俺のゴッパーやんけ!!」って(笑)。

カワクボ ボーカルあるある(笑)。

ヤマサキ あと、SM58じゃなくてSM57をボーカル用に使っているのを見るとカッコいいよな。黒くて細いやつ。

カワクボ あー。

ヤマサキ 学生ってマイクブランドはSHUREしか知らないんじゃないかな? まあ学生でも買える価格帯で、バリエーションも豊富で。

カワクボ でも僕は、イヤフォンもなじみ深いですね。カナル型が出てきた当初にいろいろなメーカーのものを使ってみて、SHUREのものが本当に音がよかったんですよね。それから3年くらいずっと使っています。今ってみんなiPhoneとかiPodとか持つじゃないですか? だから現代人にとってヘッドフォンとイヤフォンはかなり重要なアイテムだと思うんですよ。

正直ワイヤレスは身近なものじゃなかった

──そもそも皆さんはワイヤレスシステムを使ったライブパフォーマンスに興味はありましたか?

オカザワカズマ(G)

オカザワ それまでは使ったことがなくて。夏前くらいに「試してみませんか?」ってお話をいただいて、それで「じゃあ使ってみる?」って感じでした。身近なバンドにワイヤレスを使っている人たちはいたんですけど、自分たちのこととなるとちょっと踏ん切りがつかないというか、なかなか導入できなくて。

カワクボ ぶっちゃけ「どうやって入手すんの?」ってイメージ(笑)。

オカザワ そうそう。「どうやって取り入れるの?」って。だからよくプロの人がラックにワイヤレスの受信機を入れているのを雑誌とかで見ていたけど、正直まあ身近なものとして感じていなかったっていうか。

──では実際にGLXD16を使ってみていかがでしたか?

カワクボ 会場が大きいとライブ中に自分が動けるスペースが増えるんですけど、そういうときにワイヤードだとけっこうストレスが溜まるし、ぶっちゃけ仕事が増えるんですよ。

──仕事が増える?

オカザワ シールドさばきみたいなところで、演奏者もローディも気を遣うことが多いんです。シールドを絡ませないようにとか、抜けないようにとか……あとはボーカルのパフォーマンスにも気を遣わなければならないし。そういう心配はできれば減らしたい。その点でストレスがかからないのは本当にいいですね。

カワクボタクロウ(B)

カワクボ あと、僕ら「KMDT25」って曲で盆踊りをやるんですよ。

オカザワ サビで(笑)。

カワクボ その場で360度クルクル回るんですけど(笑)。それってシールドがつながっていると絶対できない動きじゃないですか。そういうパフォーマンスができれば、ほかのバンドと差を付けられる。

オカザワ 僕らはバンドとしてお客さんに一緒に楽しんでほしいっていうのがあるのでそういうアクションがあればお客さんも楽しいと思うし、僕らも楽しい。ワイヤレスにしたらいろいろな楽しさが増えましたね。

カワクボ 変化球が使えるというかね。例えば、ステージじゃなくて変なところから登場するとか……それってワイヤレスじゃなきゃ絶対にできないじゃないですか。僕らは直球だけで勝負しているバンドじゃないので、変化球が使えるのはすごくいいですね。お客さんを煽る新しい方法がいろいろできるようになった。

ギターペダルデジタルワイヤレスシステム「GLXD16」
ギターペダルデジタルワイヤレスシステム「GLXD16」

ボディパック型のワイヤレス送信機GLXD1と、ペダル型受信機のGLXD6から成るワイヤレスシステム。
電波干渉を自動的に避け適切な電波を自動で確保するLINKFREQ周波数自動マネージメント機能とチューナー機能を搭載する。

  • 価格:オープンプライス(市場予想価格4万6000円前後)
  • 周波数帯域:2.4GHz
  • 通信:双方向
  • 最大同時使用本数:8
  • 最大到達距離:60m
  • ダイナミックレンジ:120dB
  • 周波数特性:20Hz~20kHz
  • 電源:専用リチウムイオン電池(16時間) / USB充電可能
  • パッケージ内容: GLXD6 / GLXD1 / WA305(ギターシールド) / SB902(リチウムイオン充電式電池) / USB充電ケーブル
  • 寸法:GLXD1 64(W)×90(H)×23(D)mm ※アンテナ含まず / GLXD6 95(W)×46(H)×133(D)mm
  • 重量:504g(GLXD6)
ハンドヘルド型ワイヤレスシステム「BLX24/B58」
ハンドヘルド型ワイヤレスシステム「BLX24/B58」

ハンドヘルド型の送信機BLX2/BETA 58Aと、受信機のBLX4から成るボーカル用ワイヤレスシステム。
最良の周波数を素早く検出するQuickScan周波数選択機能をワンタッチで使用できるなど、ユーザーフレンドリーな操作性も魅力。

  • 価格:オープンプライス(市場予想価格4万6500円前後、価格は変動する可能性あり)
BLX2/BETA 58A
  • ゲイン調整範囲:10dB
  • 電源:単三電池×2
  • 電池寿命:14時間(アルカリ乾電池使用時)
  • 寸法:53(ø)×224(H)mm
  • 重量:218g ※電池除く
BLX4
  • 出力インピーダンス:200Ω(XLR) / 50Ω(フォーン)
  • オーディオ出力レベル:-27dBV(XLR) / -13dBV(フォーン)
  • 寸法:188(W)×40(H)×103(D)mm
  • 重量:241g
キュウソネコカミ 3rdミニアルバム「ハッピーポンコツランド」 / 2015年1月14日発売 / Victor Entertainment
「ハッピーポンコツランド」
初回限定盤 [CD+DVD] 2592円 / VIZL-761
通常盤 [CD] 1944円 / VICL-64268
CD収録曲
  1. GALAXY
  2. OS
  3. Scary song
  4. 貧困ビジネス
  5. 要するに飽きた
  6. 勇者ロトシック
  7. なんまんだ
初回限定盤DVD収録内容
  • “DMCC-REAL ONEMAN TOUR-~DOSA MAWARI CHU CHU~”THE MOVIE
    (2014年6~7月に行われた初の全国ツアーの一部ライブ映像や裏側を捉えたロードムービー)
キュウソネコカミ
キュウソネコカミ

2009年末に大学内の“就活敗残者”を中心に兵庫県西宮で結成される。ヤマサキセイヤ(Vo, G)、オカザワカズマ(G)、カワクボタクロウ(B)、ヨコタシンノスケ(Key, Vo)、ソゴウタイスケ(Dr)による“5人組全方位対応型ネガティヴディスコパンクバンド。”2012年3月に1stフルアルバム「10代で出したかった」、12月に2ndフルアルバム「大事なお知らせ」、2013年10月に1stミニアルバム「ウィーアーインディーズバンド!!!」を発表する。2014年6月に2ndミニアルバム「チェンジ ザ ワールド」をビクターエンタテインメント内のレーベルGetting Betterよりリリース。2014年に出演したフェスやイベントでは、入場規制がかかるなど注目度の高さを証明し、10月より全国25カ所26公演を巡る全国ツアー「試練のTAIMANツアー~地方巡業編~」を開催した。2015年1月14日に3rdミニアルバム「ハッピーポンコツランド」のリリースが決定しており、今作に収録される「GALAXY」はフジテレビ系アニメ「ドラゴンボール改」の新エンディングテーマに採用された。1月15日より全国ツアーもスタートし、追加公演はバレンタインデーに東京・豊洲PITにて行われる。メジャーにフィールドを移したあとも、バンド名の通り“窮鼠猫噛み”のごとく強いものに噛み付きながら精力的に活動している。