音楽ナタリー PowerPush - 高橋洋子

ボーカリストとして、母なる者として 今、伝えたいこと

高橋洋子がニューシングル「真実の黙示録」をリリースした。

このシングルの表題曲は現在放送中のテレビアニメ「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)」の新オープニングテーマ。高橋は前シーズンのオープニングテーマを歌った水樹奈々のあとを引き継ぐ格好で、実に9年ぶりに地上波テレビアニメのテーマソングを手がけることとなった。

その「真実の黙示録」の作詞は高橋、作編曲は「エヴァンゲリオン」シリーズの関連楽曲の数々でもタッグを組んだ大森俊之が担当。「残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」などビッグヒットの数々を持つボーカリストとして圧倒的なキャリアと実績を誇る彼女は「クロスアンジュ」という物語をいかに料理したのか。話を聞いた。

取材・文 / 大山くまお

音楽と映像が融合する日を待ちながら

──(アーティスト写真を見ながら)カッコいいビジュアルですねえ。

妖気を醸し出すような感じで(笑)。この人に刃向うと魔法をかけられてしまうような感じで作らせていただきました。

──そしてこのアーティスト写真がキービジュアルの1つとなる「真実の黙示録」なのですが、シンフォニックかつ壮大なイメージが前に押し出されていて、とても胸に迫る曲でした。「クロスアンジュ」後期オープニングテーマということですが、もうオープニング映像はご覧になられたんですか?(取材は2014年12月に実施)

いえ、まだ観ていないんです。ご覧になりました?

──観てません! 高橋さんより先に僕が観ていたら事件です(笑)。

そう言われればそうですね(笑)。でも本当にこの曲に映像が乗るのを楽しみにしているんです。「クロスアンジュ」は絵がとてもクリアですから。あっ、そういえば「エヴァンゲリオン」のときも事前に観ることができず、皆さんと同じタイミング、テレビ放送で初めて観たんですよ。

「すごいなあ、日本って」

「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)」キービジュアル

──高橋さんは「クロスアンジュ」という作品をどう観ていらっしゃいますか?

私が「後期のオープニングを」っていうオファーをいただいたときはまだオンエア前で、その1話を皆さんより先に観させていただいて。あとは紙資料を見ながらイメージを膨らませて歌詞を書いたんですけど、今はかなり放送が進んでお話が大きく動き出しましたよね。主題歌が変わることにも何か意味がある。主題歌が変わるとともに新しい展開が生まれるんじゃないかと思っています。

──「真実の黙示録」は高橋さんが作詞なさっていますが、アニメの制作スタッフから「こういう詞にしてほしい」というオーダーは?

1話で主人公アンジュの母親が亡くなってしまうんですけど、今回はその母親ならではの目線、母性をテーマに書いてほしいというオーダーをいただいていたので、自分の身の丈に近い目線で書くことができました。今後の展開についてもお話を聞きましたが、この子は戦い続けるわけですよね。その子に対して、亡くなってはいますが、母ならどんな言葉をかけるのか、どういう思いを抱くか、ということを歌詞にしました。

──確かにメロディの展開がとても激しく、歌詞にも「絶望」や「終末」などの激しい言葉が織り込まれていますが、聴いたときに印象に残るのがやっぱり優しさでした。

そうだったらうれしいです(笑)。どうであれ、子に生きていてほしいと願うのが母親ですから。戦いの場にいる子に対して「戦うな」とは言えませんが、「生きていてほしい」と一心に願いたくはあります。いつかまた出会うことがあれば……生まれ変わってまた出会うためにもとにかく生きていてほしい、というのが母親の心だと思います。

──それは「クロスアンジュ」という作品だけに限らず、普遍的な母親の気持ちですよね。

はい。……それにしてもオープニングの映像が楽しみです。どんな絵になるのか、想像がつかないですから。

──アニメ本編はきらびやかな絵で描かれた美少女とメカがあり、ちょっとセクシーな部分もあったりしますよね。

今どきの、本当にいい感じで(笑)。

──かつてのアニメとの違いは感じられますか?

なんといっても絵が違いますよね。昔の話ですが「魔法使いサリー」の頃なんて、背景は水色! 靴下は膝上まで!って感じでしたから(笑)。

──サリーちゃんと「クロスアンジュ」を比べたら、確かに隔世の感があります(笑)。

動きもすごく自然ですし、画面も立体的ですよね。「すごいなあ、日本って」と思ってます(笑)。

高橋洋子(タカハシヨウコ)

8月28日生まれ、東京都出身の歌手。2歳からピアノを習い始め、8歳で少年少女合唱団に入団するなど、幼い頃から音楽に囲まれた環境に育つ。1987年には久保田利伸のコンサートツアーのサポートメンバーとしてステージに立ち、その後松任谷由実をはじめとする数々のアーティストのコンサートツアーやレコーディングに参加。CMソングのボーカリストやボイストレーナーなど活躍の場を広げ、1991年にはソロデビューシングル「P.S. I miss you」で日本レコード大賞新人賞ほか多数の新人賞を受賞。1995年にはアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニングテーマ「残酷な天使のテーゼ」を歌い脚光を集めた。その後もさまざまなアニメのテーマ曲やCMソングを担当。コンスタントにオリジナル作品を発表している。2015年1月21日にはニューシングル「真実の黙示録」をリリース。表題曲はテレビアニメ「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)」の後期オープニングテーマに採用されている。