音楽ナタリー PowerPush - THE FOREVER YOUNG

クニタケヒロキ×RYOSUKE 5人6脚で作り上げた号泣アルバム

THE FOREVER YOUNGがニューアルバム「THE FOREVER YOUNG」を11月12日にリリースする。

彼らは今年3月に改名し、4月からCOUNTRY YARDらが所属するレーベル・STEP UP RECORDSの所属となった。今作は“THE FOREVER YOUNG”名義で初の作品となる。新たなスタートを切った彼らの決意とは。

バンドのフロントマンであるクニタケヒロキ(Vo, B)と、STEP UP RECORDSの代表であり、THE FOREVER YOUNGメンバーが憧れるFUCK YOU HEROESやHARDCORE FANCLUBなどの一員としても活躍するRYOSUKEに話を聞いた。

取材・文 / 小林千絵 インタビュー撮影 / 半田安政(showcase)

ライブはよくなかったけど、1曲だけすっと入ってきた

──THE FOREVER YOUNGがSTEP UP RECORDSからアルバムをリリースするまでの経緯を教えてください。

クニタケヒロキ RYOSUKEさんと初めて会ったのは2年前に改名前のバンド(KARIBUxNOxKAIZOKU)で、(RYOSUKEが所属している)HARDCORE FANCLUBと高松で競演したときでしたね。初めて会ったのにガンギレで(笑)。

左からクニタケヒロキ、RYOSUKE。

RYOSUKE そのとき一緒に出てた別の若手バンドが、俺らに対して「恐縮です」って気を遣ったような、しこたま悪いライブをしてたから、カリブに「先輩後輩関係ねえから。お前らもそういうライブをしたらぶっ殺すぞ」っていきなり切れてたね(笑)。結局ライブはよくなかったんだけど、1曲だけすごいすっと入ってきた曲があって。その曲以外は全部叫んでたんだけど、その曲だけ歌ってたの。打ち上げで、俺はあの曲だけ好きだなって言ったよね。

クニタケ そのときはフロア降りてお客さんに中指立てたりするライブをしてたんですけど「お前ら普段はそういう人間じゃねえだろ」みたいなことを言われて「確かに」と思いました。それから半年くらいたって新曲作って「WORLD END」のPVをYouTubeに上げたんですよ。そしたらRYOSUKEさんから「PV観たよ。まだ俺に興味あったら音源欲しいな」みたいなメールが来て。急いで音源送りました。

RYOSUKE PV観たら超よくて。さらに彼らのホームページに載ってたトレイラーで使ってた曲もよくて「こっちも日本詞だし、めちゃくちゃ歌ってる!」と。で、そのやりとりしてるときにたまたま東京でライブがあったから観に行ったら高松で対バンした感じじゃなく堂々とやってて。これだけ変わったんだなってうれしくなったのもあって、ライブのあと一緒にファミレス行ったんだよね。STEP UP RECORDSからどうこうみたいな話じゃなくて、バンドマンとして普通に会話しつつ、相談に乗ってた感じで。

クニタケ もちろん俺たちも心の底にはSTEP UP RECORDSから出したいみたいなのはあったけど、単純に「会って話したい」みたいな。悩みを投げかけると全部答えてくれました。とにかく話すだけでよかったんです。

RYOSUKE そのあと九州でCOUNTRY YARDと2日連続で対バンする機会があって、そのとき俺カリブのライブ観て感動して泣いて(笑)。で、こいつらに「STEP UP RECORDSから出したいなって気持ちになってんのかも」っていう話をしたんだよね。でも彼らはTASTY RECORDSから音源出してたから、気持ちだけは伝えるわって言って。もう恋愛みたいなもんだよね。

仕事中心の生活か、バンド中心の生活か

クニタケ 誘ってもらって「マジでヤバい」とは思ったんですけど、そのとき俺ら4人は、すでに来年からは普通に仕事しながらゆっくり週末にライブしていこうって決めてたんです。結婚とかも考えてたし。だからそれをRYOSUKEさんに伝えて。そしたら「普通ってなんだよ?」ってキレられて(笑)。「仕事をちゃんとしたいなら何年後かでもよくね? それまでに後悔しないようにしたほうがいいよ。夢あっただろ? それを一緒につかまないか」みたいなことを言ってくれたんです。

RYOSUKE 周りの人がどうとかの前に4人の気持ちはどうなの?って。バンドをやることに対して、彼女とか親とかを納得させられるほど自分の情熱がないだけじゃないの?みたいなことを言ったんだけど。まあ、何よりもったいねえなみたいなことはずっと言ってた気がする。HAWAIIAN6からTORUが脱退して俺が代わりに入ったときと同じで、好きなバンドが止まるとか、今まで観れてたバンドが観れなくなったりするのがイヤだっていう、俺のわがままが強いんだけどね(笑)。

クニタケ で、いったん持ち帰って、後日「お願いします」って返事をしました。

RYOSUKE 「やっぱ俺たちやります。彼女、親、説得したんで」って。

──平日は仕事をしてバンドは週末だけにするか、バンド中心の生活にするかってすごく大きな選択だと思うんです。バンド中心の生活を選んだのはどうしてですか?

クニタケヒロキ

クニタケ RYOSUKEさんに初期衝動をかきたててもらったんです。このままじゃ終わりたくねえって思ったんですよね。バンドを始めたときは、何かやってやるぜって思ってたんですけど、それがどんどん薄れていってて。でもRYOSUKEさんとやりとりをしている中で、改めて「このままじゃ終わりたくねえ」「なんかつかんでやる」っていう思いが4人とも強くなったんですよね。

──バンドを続ける原動力は何ですか?

クニタケ 根本にあるのは「なにくそ」っていう気持ちですね。バイト先で店長に怒られて、「くそー! 明日ライブがんばろう!」みたいな。あと、この曲は誰の曲っていう感じで、曲ごとに思いがあるんですけど、その人にいつか聴かせてやりたいって思うんです。例えばパンクとか全然聴かない元カノのことを歌ってたら、聴くわけないのに、いつか聴かせてやりたいって思ってる。だから聴くまで続けたい。最近は、バンド名変えたり、レーベルが変わることに対してやいのやいの言う人も多少いるんで、そういう人を納得させたいっていうのもあります。

ニューアルバム「THE FOREVER YOUNG」2014年11月12日発売 / 2484円 / STEP UP RECORDS / SURCD-015 / Amazon.co.jp
「THE FOREVER YOUNG」
収録曲
  1. NOW AND FOREVER
  2. YOUTH
  3. WORLD END
  4. YOUR WRIST SCAR~キミのいつかの希望を~
  5. 最後の夜
  6. HELLO GOODBYE
  7. 悪夢街のアリス
  8. 普通って何だよ
  9. ANSWER
  10. TO LIGHT
  11. 君の魔法
THE FOREVER YOUNG(フォーエバーヤング)

クニタケヒロキ(Vo, B)、ヒラヤマリョウタ(G)、ヒラタタクヤ(G)、オガワリョウタ(Dr)の4人が2007年に福岡県久留米市で結成したバンド。2014年3月まで「KARIBUxNOxKAIZOKU」というバンド名で活動しており、TASTY RECORDSからアルバムを2枚発表した。同年4月にSTEP UP RECORDSの所属となり、同時に「THE FOREVER YOUNG」に改名。レーベル主催のツアーやオムニバスアルバム「...OUT OF THIS WORLD 5」への参加を経て、11月にアルバム「THE FOREVER YOUNG」をリリース。パワフルで激情的な演奏と、クニタケのポエトリーを取り入れた熱いボーカルで観客の心をつかんでいる。

RYOSUKE(リョウスケ)

FUCK YOU HEROES、HARDCORE FANCLUB、ABSOLUTIONの一員として活躍するベーシスト。一方でSTEP UP RECORDSの代表としてTHE CHERRY COKE$、HOLSTEIN、COUNTRY YARDなど多くのバンドを輩出してきた。レーベル主催のツアー「...OUT OF THIS WORLD tour」の開催やオムニバスアルバム「...OUT OF THIS WORLD」シリーズのリリースなど精力的な活動を続け、多くのバンドマンやライブキッズからの信頼を集めている。