音楽ナタリー PowerPush - トータス松本×ユースケ・サンタマリア

祝!「夕陽のドラゴン」一夜限りの復活!

トータス松本とユースケ・サンタマリアがVJを務めたスペースシャワーTVの伝説的番組、「夕陽のドラゴン」。まだ2人が無名だった1995年にスタートし、それぞれのブレイクを経て1997年に終了したこの番組が、スペシャの開局25周年を記念して一夜限りの復活を果たす。今回は待望の復活を記念してトータス松本とユースケ・サンタマリアにインタビューを行い、当時の出来事を振り返ってもらった。

またナタリーでは、8月23日にオンエアされる特番「夕陽のドラゴン -Summer Madness 2014-」の収録現場に潜入。特集後半では奥田民生、ウルフルズ、吉井和哉、モーニング娘。'14と豪華ゲストが登場した番組の様子をレポートする。

取材 / 大山卓也(P1~2) 文 / 伊藤実菜子(P1~3) 撮影 / 笹森健一

武器が一切ないからとにかく大きい声出すしかなかった

──お2人は番組出演の話が来たときのことって覚えてますか?

左からユースケ・サンタマリア、トータス松本。

トータス松本 94年に出た2ndアルバム(「すっとばす」)がけっこう手応えがあったんよ。だから「ドラゴン」の話が来たときは「チャンスや」と思ったね。毎週出られる番組ができたな、みたいな。当時はレギュラーってあんまりなかったからね。

ユースケ・サンタマリア でも番組の司会というか、そういうことを俺たちはあんまりやったことがなかったから、最初はもうテンション高くいくしかなくて。自分たちの武器が一切ないもんだから、何やるかっつったらとにかく大きい声出すしかないみたいなね。

──確かに大きい声出してましたね。異様にテンション高い番組でしたよね。

トータス うん、それ以外やることないもん。基本的に俺らはもうゲスト来たらワーッて騒いだりするだけっていうか。

ユースケ にぎやかしみたいな。ゲストはほとんど知らないし、面識もなかったけど。

トータス あとは生放送っていうのがよかったんよね、また。編集して2時間番組っていったらけっこう撮るもんね。

ユースケ 刹那的な感じがよかったよね。たとえ失敗してもそれがオンエアされているというさ。

──思い切った番組でしたよね。

ユースケ あのときのあの番組の特性、パワーみたいなものって……まあ怒りですよね。一応デビューはしてるけど、世の中の人間が自分たちを知らないっていうことに対する怒り、イラ立ち、悲しみであったりとか(笑)。2人ともほんと同じようなポジショニングだったしね。

トータス松本

トータス 俺らは打ち合わせからすごい意気投合したよね。ユースケがちょっと年下やから、「トータスさんトータスさん」って気遣ってくれて。で、ごはんでも食べに行ったのかなあ。それはすごいよかったです。だから最初からけっこう楽しかったね。

ユースケ うん。

トータス プロデューサーとかディレクターからのダメ出しも、特に「こういうことやってくれ」とかもなかったし。

ユースケ そうそう、スタッフのみんなも「いやー今日も楽しかったねえ」ってだけ。

トータス そんでVHSもらって帰って、家で観て「うん、オモロイオモロイ」って自分で満足したりして(笑)。毎回必ず2時間ちゃんと観てた。

ユースケ 暇もあったしね。

トータス 暇やったなー。

ユースケ 時間がもうたっぷりあった。だってこれがけっこうメインの仕事だったし、唯一の通勤みたいなね。

トータス 電車乗って渋谷で降りて、普通に商店街歩いてWAVEに行ってたからね。スタイリストもヘアメイクもおらへんから、マネージャーに眉毛書かれたりして。ただでさえ濃いのに(笑)。

ユースケ だから最初はWAVEに全然人いなくて、道行く人も「なんかやってんな、誰だ? 知らねえな」くらいのもんですよ。

トータス エライ人入るようになったよね、途中からね。番組が始まって3、4カ月経ったくらいかな。

渋谷から六本木に移動して

──途中でお2人がブレイクして、状況が変わるわけですね。結局、WAVEだと混雑でパニックになるということでスタジオに移動したんでしょうか?

トータス たぶん、もう無理になったんやろね。

ユースケ・サンタマリア

ユースケ そのときはウルフルズが「ガッツだぜ!!」を出した頃で、お客さんがすごいことになっちゃってて。

──でもスタジオに移ってからも相変わらずハイテンションだし、ちょっとヤケクソな感じはありましたよね。

トータス ふふふ(笑)。WAVEで人気が出て、縛りがますますなくなったからね。六本木のスタジオ行ってからもそれでやれたんよ。

ユースケ そう。番組自体を応援してくれてる感じがわかって、俺たちも変な万能感が出てきたっていうか(笑)。

トータス ユースケは万能感の塊やったやん。毎週、本番1時間くらい前に「さあ今週はオープニングでどれ歌います?」ってスタッフに投げられるんやけど、俺は生真面目やからでっかい歌本見ながら「どれ歌うのユースケ?」って言うんやけど「どれでもいいよ」くらいの感じで言ってきて。「じゃあこれ歌うか。覚えろよ」「あー覚える覚える」って……結局全然なんもせえへん。

──ははは(笑)。

左からユースケ・サンタマリア、トータス松本。

トータス 俺は一応ギターを弾く役割もあるからコード取らなあかん、ってなんとなく練習するんやけど、ユースケは(曲を)全っ然覚えない。出たとこ勝負でめちゃくちゃに歌うわけ(笑)。

ユースケ まったく知らないか、おぼろげに知ってるくらいの曲を好んでたな、そのときは。万能感だったのか、あれ(笑)。今までわかんなかった。あとはトータスさんがギターをやってくれてたんで、俺はメロディめちゃくちゃのほうが面白えんじゃねえかとか、そういう姑息なことも考えてたんでしょうね。

スペースシャワーTV「夕陽のドラゴン - Summer Madness 2014 -」
スペースシャワーTV「夕陽のドラゴン - Summer Madness 2014 -」

2014年8月23日(土)20:00~22:00
2014年8月28日(木)19:00~21:00(再放送)
2014年9月8日(月)21:00~23:00(再放送)
2014年9月21日(日)18:00~20:00(再放送)

出演者

トータス松本 / ユースケ・サンタマリア / 奥田民生 / 吉井和哉 / ウルフルズ / モーニング娘。'14(生田衣梨奈、鞘師里保、鈴木香音、石田亜佑美、小田さくら) / 宝積有香

トータス松本(トータスマツモト)

1966年生まれ、兵庫県出身。ウルフルズのボーカリストとして1992年にデビュー。2014年2月に休止中だったウルフルズの復活を宣言し、5月にニューアルバム「ONE MIND」をリリースした。ソロ名義では7枚のシングル、3枚のオリジナルアルバムを発表している。

ユースケ・サンタマリア

1971年生まれ、大分県出身。1994年にラテンロックバンド・BINGO BONGOのボーカリストとしてデビューし、1997年のバンド解散後は俳優、タレント業を中心に活動する。代表作に「踊る大捜査線」シリーズなどがある。